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警備会社が食肉加工?

こんにちは。smart branchです。

10月27日のテレビ東京系列「WBS」で「警備会社大手ALSOKさんのジビエ事業への参入が紹介されていました。私の専門としようとしている分野からはズレるのですが、今週は「ジビエの流通」についてニュースを見て感じたことを書いてみたいと思います(私見を大いに含みます)。

番組の動画自体は貼れませんが、記事になったものがあったので転載させていただきます(テレ東プラスHP 2021年10月29日閲覧)。

記事の内容はタイトルの通りで、ALSOKさんの目の付け所の良さが印象的です。「財産を守る」という警備会社の視点から農作物を守る取り組みは素晴らしいと思います。

ただ、私が注目したいのは猟師さんの「自分で処理したら大変」というセリフ。そもそも何が大変なのか、どんな問題があるでしょうか。

まず、やはり人の口に入れるものには食中毒などを防ぐために「食品衛生法」の下で厳しい制約が課されています。食肉加工場自体にも多くの制限がありますし、加えて同じ肉でも家畜の肉と野生動物の肉(以下獣肉)には大きな違いがあります。

1つは捕獲した動物が何を食べてきたのか、どのような環境で育ってきたのかを完璧に把握することが極めて困難な点です。寄生虫やウイルスを持っている可能性もあり、少しでもそうした疑いのある個体は流通させられません。

もう1つの違いは獣肉の場合、獲物を捕獲した場所から食肉加工場まで運ばなければなりません。そして運ぶためにトラックに載せるにしても、必ずしも捕獲場所の近くまでトラックが入れるとは限りません。数十キロにも及ぶ獲物を運ぶのは複数人でも大仕事です。

さらに目的の違いもあります。例えば田畑の被害を減らすための「駆除」は肉の販売がメインの目的ではありません。猟師になる方の中には、自分の田畑を守るために狩猟免許を持った方も多くいます。そうした方にとっては苦労してまで食肉加工場に獲物を運ぶ動機は弱くなります。

こうした話をしていると「田畑の被害を減らすことが目的なら、田畑の周りをしっかりと電気柵等で囲えば駆除をしなくても良いのではないか」という意見に出会います。これは確かに一理あると思います。ただ、動物も賢く、うまく穴を見つけてきたりとそんなに簡単ではないのが実情です。

さらに、それを言い出すと個人的には「そもそも田畑の近くまで動物が頻繁に出没する現状に対して策が必要ではないか」、「田畑以外への被害(木の皮を食べるなど)への対策として結局、駆除は必要だ」などなど話が大きくなっていってしまいます。

私の関心はむしろ、こうした地域全体での人間と動物(自然)の関わり方にあります。なので書きたいことが山ほどあるのですが、長くなるので今日はここまでにしましょう。ひとまずはALSOKさんのような獣肉を扱うビジネスが今後どうなっていくのか注目していきたいと思います。

それではまた来週。

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