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効率経営の優等生:JR九州の憂鬱【不正乗車は、今後も増え続ける必然】

国鉄がJRに分割されたとき、新幹線などの安定的な収益源を持つ本州3社(JR東日本、東海、西日本)に対して、3島会社(JR北海道、四国、九州)は、経営基盤が脆いことが指摘されていました。

そんな中、JR九州は早くから経営の多角化と同時に、経営の効率を追求してきました。

JR九州の主要駅には、商業施設(アミュプラザ、エキマチ1丁目)を展開しており、不動産もマンション分譲をMJRブランドを中心に展開し、立地によっては、賃貸物件も扱っています。

そんなJR九州は、2015年に上場を果たし、効率経営の優等生と評する向きもあります。

そんなJR九州にとって、収益性の高い九州新幹線に対して、効率経営の足を引っ張っていると言わんばかりの対応をしているのが在来線の扱いです。
各地で運行の減便が続いており、利用者にとってどうなのかという対応が増えている印象もあります。

そんな中、JR九州が積極的に進めている印象があるのが、駅の無人化です。

近年、利用客の多い福岡市の駅でも無人化の動きが出ています。その結果、当然起こるだろうと思わる事態が起きています。

それが不正乗車です。

同社は昨年3月から半年間、香椎線で人工知能(AI)によって不正乗車を分析する実証実験に取り組んだ。不正乗車が疑われる人が改札を通過すると警報音を鳴らすなどの活用策が念頭にあったが、実用化には至らなかった。

記事より

とありますが、これは、香椎線の香椎神宮駅、土井駅などを無人駅としたことから調査したのでしょう。
博多駅ー土井駅の運賃は、280円。最短区間の博多ー吉塚の170円分の切符を買って利用すれば、110円が「お得」になる計算です。
(博多→土井で可能。逆向きは構造上無理と思われます)

素人の目から見れば、当然そういう乗客が出ることは想定されるはずですが、それでも無人駅とするメリットが大きかったのでしょう。

しかし、これを放置してよいものでしょうか。地方はもっと深刻ではとも思うからです。

本記事を書くにあたり、福岡県以外の駅の無人化について調べてみましたが、想像以上に凄まじい。

佐賀県の場合、上記記事にあるように、
・けやき台(鹿児島本線)
・東唐津(筑肥線)
・西唐津(唐津線)
もすでに無人駅とか。

けやき台駅は、ニュータウンが建設されたことによってできた駅のようですので、まだまだ通勤通学の需要は十分ありそうですし、
東唐津、西唐津は、福岡市営地下鉄空港線に乗り入れています。

東唐津は、快速停車駅ですし、西唐津駅は、始発(終点)駅でもあります。
そんな「主要駅」でも無人駅とすることに「経済的なメリット」があるということなのでしょう。

JR九州幹部の頭の中では、在来線は既に「オワコン」でしかなく、今後いかにコストをかけずに運営し、周辺住民とのハレーションを起こさずに規模縮小を目指すかというのが「経営方針」なんだろうと感じます。

都市にお住いの方には、国鉄が民営化されて良かった。JR東日本は、素晴らしい。JR西日本の新快速は便利・・・ということなのかもしれませんが、九州に住む者としては、そのような意見に簡単に首肯できない現実があります。

鉄道事業は、民間の論理と公共性に跨る領域であると思っています。このようなニュースに接すると、問題をJR九州に押し付けるのもどうなのかと思っています。上場した以上、民間の論理を推し進めるしかないのもJR九州の立場としては、理解できるところでもあるからです。

このあたりは、もう少し知恵のある工夫が求められるように思います。
少なくとも地方では、民間の力では、どうにもならない現実があることは理解してほしいところでもあります。


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