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共通テストのリード文はなぜ長いのか?

共通テスト対策は、最終盤ですね。ここまで対策をしてきて、痛感するのが、共通テストの試行調査、2021年の問題は、教科に関わらず問題のリード文が長いことです。

どうしてここまで長いのでしょうか?

素直に考えてみると、長い文章に耐えられる能力が求められていることが挙げられます。では、長い文章を読む能力がなぜ必要なのでしょうか。

最近、国立情報学研究所社会共有知研究センター長の新井紀子先生について知る機会がありました。
新井先生は、東大を目指すAIの研究で有名な方ですね。
その新井先生が、リーディングスキルテスト(RST)を主宰されています。

どうやら、このあたりにヒントがありそうです。
興味深いのは、RSTの結果・分析により、

読解力は、小中学校までで伸びが止まり、高校生からはあまり伸びないというデータがあるようなのです。

それは本当なのでしょうか? 感覚的に疑問があるところです。

脳科学の検証により、そのような結論が出ているのでない限り、環境要因はあるのではとも考えられます。

というのも、高校からは、実業系高校と普通科高校に分岐し、普通科はさらに文理に分かれ、理系は生物と物理に分かれるので、高校生の学ぶ領域は、細分化していきます。つまり、習う学問の領域がまだら模様になっており、読解力もそれに引ずられている可能性は十分ありそうです。

なので、読解力は高校生から伸びないという結果は、環境による影響があるのではという推察には、整合性があるように感じます。

であるならば、教科に関わらず長い文章を読ませるテストを最も受験生が集まる共通テストで実施しようという狙いがあるのではと思うようになりました。

理系の生徒で文章を読むことが苦手な受験生は結構います。リード文が長い共通テストの事情を反映してか、2次試験向けの模試(記述模試)よりマーク模試(共通テスト模試)の方が成績が「悪い」という受験生がちらほらでています。これまででは、あり得なかった傾向です。

読む力は理解力につながり、理解力は問題解決能力につながります。AIという知的ライバルが社会に入り込み、人間が行う仕事を奪っていく未来がもうそこまで来ている以上、若者がAIに負けない力をつける一つの手段として、読解力の鍛錬が挙げられているのではないかと思うようになりました。

若者が環境への適応する過程で読解力を鍛えているという狙いがあるのであれば、共通テストの方向性について、納得のいくところです。


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