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中高一貫校生の浪人回避志向の意味

塾に活動の基盤を移してから中高一貫校の受験生をみる機会が増えました。彼らは下の学年からよく勉強しており、成績もよく、模試による志望校の判定もいい生徒が多いです。

一方で、公立高校の受験生は、高校受験の成功体験を引きずっているのか、現実離れをした志望校を目指そうとしたり、勉強量の不足を認識できていない場合もあり、現実をいかに可視化させるかに腐心することも多い印象です。

そんな対照的な受験生を多く見ることが増えましたが、ここまで順調にきた印象のある中高一貫の受験生にはある特長があります。

それが、強い現役志向です。というより、浪人回避志向といった方が正しいのかなと思います。

現時点で模試でA~B判定を出している受験生でも、万が一の場合は、「志望を下げてでても現役で合格したい」と口にする場合が多いのは、ちょっと驚くレベルです。

これまで公立高校の受験生を長く見てきて、あまりの楽観ぶりに手を焼いたことが多かった私には新鮮に映ってしまいました。

なぜ彼らはそのように考えるのでしょうか。

一つは、受験勉強を事実上ある程度経ている受験生であることが大きいのかなと思います。先取り学習は当然しており、人によってスタート時期はバラバラですが、概ね半年~1年程度はすでに受験向けの勉強をしています。そのため、受験の厳しさを体感しており、簡単に成績が上がらないことも概ね理解しています。そのため、未来に甘い期待をしないのではと思います。浪人してもそんなに成績は上がらないなら、現役で受かりたいと思うのでしょう。

もう一つ考えられるのは、現在のアドバンテージを過大評価していないのではと思います。現時点でのアドバンテージは、スタートのはやさなどが主因となっているので、浪人生すれば、そのアドバンテージの幅は小さくなると考えているようです。リードしている受験生は、後ろから迫ってくる受験生の存在が大きく見えがちですが、そのたりの不安心理もあるのかなと感じています。

ただ、この浪人回避志向は、彼らの背中を確実に押しているのも事実です。

エンジンがかからず、モタモタしている公立高校の受験生と比較すると、彼らはギアを1~2段上げて勉強しています。彼らがほとんど来春に結果を出す理由の一つはこの時期にすでにトップスピードで勉強していることも大きいのではと思っています。

思考は行動に影響を与え、行動は結果に大きな影響を与えます。勝つ受験生徒はこういう感じなのだと塾講師として学ばされます。

彼らをみていると、受験の王道は先行逃げ切りだと確信するのです。

難関大・難関学部の逆転合格は極めて難しいのは、このような現実を見ているからそう思うのでしょうね。

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