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音大と女性の社会進出

ヤフーニュースで、音楽大学の苦境が伝えられています。

私は、親戚に音大出身者がいることもあり、興味深く記事を読んでいます。

痛切に感じるのは、時代の変化でしょう。特に女性の社会的な地位の変化を感じます。

音大出身の私の年の離れた従姉の時代と、歳の近い従妹の違いを通して考えてみたいと思います。

歳の離れた従姉の場合、音大を卒業後、絵に描いたように家事手伝いに収まりました。個別レッスンをするピアノ教師として、自宅や家庭を訪問し、ピアノを指導。のちに開業医のご子息と結婚しました。

男性医師と音大出身の女性は、感性の相性がいいというのは、何かの本で読んだことがあります。音大がここまで需要を持てた背景には、音大出身の女性は、質の高い良縁があるということが社会的に機能していたからだろうと思います。

しかし、時代が変わってきたなと思ったのが、歳の近い従妹の結婚です。

声楽とピアノの違いがあるものの、卒業後は、事務職に就き、地域の活動で音楽を継続する感じでした。縁談話はあまり聞かず、本人がいわゆる婚活にいそしみ、会社務めの男性と結婚しました。

身近な事例で音大出身者の変化を感じていましたが、その変化を決定的にしたのが、かつて家庭教師としてご訪問したご家庭のお母様でした。

音大のご出身で、マンションに防音設備があるご家庭でした。私が指導したお嬢様も音楽を幼少期からたしなんでおられました。

しかし、お母様はきっぱりと「音大はダメ」と明言。お嬢様の希望もあり、薬学部へ何とか入れてほしいとのことでした。今は、薬剤師としてご活躍されています。

かつては女性の立身出世は、結婚であった時代がありました。ただ、それは女性の能力や個性を重んじたとは言い難い。古き良き価値観を見出す男性(主におじさん)の意見もありますが、これは淘汰されて当然かなと思います。

今は、まだ逆風が吹いているとはいえ、女性は主体的に人生を選択できるようになってきました。

音楽が好きで、音大を目指したいという女性はきっと沢山いるはずです。しかし、音大を出ても就職がないというのであれば、敬遠されて当然の側面があります。

記事にあるように音大を出た学生が社会でどのような役割を果たすべきかを大学の関係者が考えていないのであれば、これは随分と時代とズレてしまったと言えるのでしょう。



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