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私立文系という言葉が消える日【あだち充『みゆき』の若松真人はもういなくなる?】

いよいよデータ上でも私立文系の一般入試が減少に転じたようです。
日本のいたるところで少子化、人口減少の影響が出ていますが、人数として最もボリュームゾーンとなる私立文系は、真っ先に影響が出るだろうと思っていました。

リマセムのHPより

記事内にあるグラフをみても、すでにピークアウトしており、今後上昇要因が見当たらないこともあり、今後、私立大学は早期の学生の囲い込みこそが、生存戦略となるのは必然といえるでしょう。

そのため、私立大学にとって、学生の早期確保の手段としての年内入試といわれるようになった「学校型推薦入試」「総合型選抜入試」は、生き残りのための重要な手段として今後、活発化することでしょう。

また、受験生もこれらを活用する人が私立文系ではボリュームゾーンになるのではと思っています。

これは時代の流れであり、止めることは難しいと思っています。

今後、一般入試の立ち位置は、
・高止まりする難関大の偏差値を覚悟の上で複数校受験したい人
・国公立大学との併願先として受験したい人
・専願(※)でない大学を年内入試で確保して選択肢を増やしたい人

などに絞られていくことでしょう。
※合格したら必ず入学することが条件となる

その昔、あだち充の『みゆき』という漫画があったのですが、主人公・若松真人は、凡庸を絵にかいたような若者。彼は、浪人生として予備校に通うのですが、授業は午前だけ。

そんな「緩い」雰囲気の浪人生は、今はもういないと思いますが、今後は私立文系の浪人生そのものが急激にいなくなるのでしょう。

真人のように、浪人までして、普通の私立大に進学するという若者はいなくなる。なぜなら年内入試で恐らく進学が十分可能ですから。

真人以外でも、すでに『みゆき』で描かれている若者は、今の時代とかなり乖離しており、もはや文化人類学の領域なのでしょうが、若者はこの程度で全然問題なかったと思うと、今の若い人に大人があれやこれやと求めるのは、気の毒でもあります。

今となっては、あのような贅沢なモラトリアムが確保されていた社会は、例外だったのかもしれませんが、このような側面からもこの国の転落ぶりはよく理解できるところでもあります。

あと、理系の場合は、もともと私立大の定員はそこまで多くありません。理系専門の工業大学でマンモス校というのはありません。もちろん、学生の確保という事情は同じですが、国策で、国公立大学の理系学部の数は多いので、国公立大学がいわゆる年内入試に定員を多く割かない限り、私立理系は、年内入試を活用する人は専願者だけになるのかなと思っています。

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