見出し画像

商品としての大学

気になった記事を見つけたので、今回はこれについて書いてみます。

本文にある
大学経営に金融のインフラである債券格付けを組み込んだことも中長期的に影響している。という部分は、とても気になる言及です。

昨今、関東関西の「ブランド大」(あえて、こう表現します)が系列高校を増やしているのは、気になる現象だと思っていました。
高校野球の名門校についても、
平安高校→龍谷大平安高校(京都)
北陽高校→関西大北陽高校(大阪)
と大学の系列高校化は進んでいます。
福岡市でも、北京、東京五輪ソフトボール日本代表の上野由岐子さんの母校、九州女子高校が福岡大学の付属高校となり、福岡大若葉高校となっています。
また、本文にあるように、泰星高校が上智福岡高校になりました。

いろんな事情が絡んでの系列高校化とは思いますが、少子化の中で学生の確保という観点もあったという点はとても納得のいくところです。

大学も資本主義の中にある存在である以上、大学が商品としての側面をもつことは否定できません。

『資本論』の有名な一節
資本主義的生産様式が支配的に行われている社会の富は、一つの『巨大な商品の集まり』として現れ、一つ一つの商品は、 その富の基本形態として現れる。それゆえ、われわれの研究は商品の分析から始まる。

を思い出さざるを得ません。

こういう資本主義の側面からみると、
・大学は研究機関である
・大学は教育の場である
・私立大とは言え、過度な利潤追求は控えるべきだ
などという主張が、なんとも青臭く見えてしまいます。

奨学金が実質教育ローン化していることについて、社会問題として扱われることがありますが、資本主義の観点からみると、商品としての大学教育を受けるのだから、ローンでいいじゃかないかという主張も何とも説得力のあるものに聞こえてしまうので、不思議な気がします。

日本の大学は、アメリカのアイビーリーグやスタンフォード大学のようにびっくりするような学費を払うよう求めるようになるのか、ドイツや北欧のように学費は無料の流れになるのかの分岐点となっているのかもしれませんね。

本文にある
早稲田大では2010年、佐賀県の県立高校跡地に「系属校」が開校し、大阪府にも系属校を置いた。(中略)レベルの高い高校生を吸い上げているのだ。

という点は、ちゃんと取材して欲しいかなと思います。早稲田佐賀高校出身者に対して早稲田大学本部は、そんな甘い視点は持っていないはずです。

ちゃんと勉強しない学生が集まるような仕組みを一生懸命導入してもその大学に未来はないと思うので、その点は揺るがせにしないでほしいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?