東京都知事選挙は、今の政治の異様さをよく反映していると感じる理由【成功したと思われる現職陣営の「あること」の物量作戦と挑戦者の反転攻勢の「カギ」】
本日6月20日は、東京都知事選挙の公示日です。7月7日の投票日まで都内は首都のリーダを決める、文字通り初夏の「熱い」闘いとなるのでしょう。
ただ、東京に限らず、地方自治体の首長選挙は「圧倒的に」現職が有利です。スキャンダルとか、多選批判とかあってもそれでも現職が有利。地方自治体のトップは、ある意味絶対権力者だからでしょう。
ましてや、ヨーロッパの小国クラスの予算規模を持つ東京都のトップならば、その権限の絶大さは、凄まじいものがある。
現職に逆らって得られるものなのど「何もない」現実がある限り、お仕事などで何らかの形で役所(東京都)と繋がっている方が、挑戦者に票を入れることはありえないと常々思っています。
勝負事は何が起こるかわからないものですが、「余程のこと」がない限り、現職有利で選挙戦は展開するのではと思っています。
挑戦者側としては、公示までに機運を盛り上げて、加速をつけて選挙戦に臨みたかったのは、間違いなかったと思われますが、今回は、現職側も相手の強さを認めたこともあり、選挙前から、メディアスクラムが組まれたと判断せざるを得ない現状がすでにあります。
それが凝縮されていると思うのが、こちら。
はっきり言って、異様な光景だと言わざるを得ない。
日曜日の昼下がり、まったりとテレビを眺めている視聴者に、こんな映像が流れてくる。報道番組ではないだけに、バイアスがかかっているようには見えない点はかなり巧妙だと思います。
挑戦者が掲げるリセットという言葉に対して、若いタレントさんがお二人ともネガティブコメントとなれば、当然「シナリオ」があり、恣意性はあると言えそうです。テレビが(生放送であれば尚のこと)好き勝手にしゃべらせることなどありえない点からも誘導された発言なのでしょう。
さらに、メディアは、執拗にあることをしていたと感じています。
↓でも書きましたが、それは、挑戦者にとって、ダメージのある「言葉を探すこと」だったと思っています。
・都政へのビジョンがない。
・攻撃性が気になる。
・(立憲民主党を)離党して出馬はいかがなものか。
・共産党が支援している。
・・・・そんな五月雨式に打ちあがる観測気球の中で、有効打ともいえるパワーワードが見つかった。
それがこちらでしょう。
個人的には、ちょっと使い古された言葉だったので意外でしたが、これが効いたのは間違いないようで、だからこそ挑戦者としても反論をせざるを得なかったのではと思っています。
ただ、それは方向性に間違いがなかったとも言えるのではと思っています。
挑戦者に痛いところ探られては困ることをたくさん抱えている現職なので、そこを突いていく戦い方は、正しい方向性だと思います。そもそも挑戦者の存在意義は、これまでの政治のチェック機能であることは当然のことだからです。
言葉に語弊があるかもしれませんが、フェアに戦っても勝ち目はない。であるならば、相手が最も嫌がるとこでもある
「私に現職都政の問題点を総点検させてほしい」と訴えることは大事ではと思います。
すでに現職は、ご自身の学歴問題など、記者会見から思わぬ「矢」が飛んでくるのを恐れたのか、記者会見に記者を入れないという状況になっている。これは追い込まれていると判断していいのではと思います。
「現職都政を総点検」あたりは、有効なパワーワードなのかもしれません。
探られたくない腹を徹底して突いていくという姿勢は、挑戦者としてのスタンスは、透明性のある都政という点で共感を得られるでしょうし、そうなったらチャンスは無くもなく、浮足立った現職陣営からの敵失も出てくるかもしれません。
そのくらいの戦い方をしない限り、政治に無関心な人たちを振り向かせることも難しいとも思います。現職有利の展開を覆すためにも、いい意味の挑戦者の「攻撃性」を活用すべきなのでしょう。
この選挙、メディアが異様な対応になっている。現職は、学歴詐称問題で刑事告発されていますが、テレビはこれを報じていない様子。
どうしてこうなるのか。それは、政治と企業の癒着が、新しい資本主義として世界的に広まっているからだと理解しています。それは搾取できるフロンティアが、そう多くない現実の証左ともいえる。
だから政治に手を出す。
現職はそれに乗じて、あまりに好き放題やりすぎた。それを指摘することは挑戦者の戦略として正しいと私はみています。
私は東京都知事選挙は、今後の政治の行く末を占う試金石になると思っています。ここまでメディアが権力に阿っている姿を可視化された選挙も珍しい。
今は異様に見えていますが、今後はこれがデフォルトにもなりかねない。
現職の問題点を挑戦者が選挙に勝って検証する。これが機能すれば、ここまでのやりたい放題の政治にはならないとも思うので、挑戦者は、これを突破口の「カギ」として前面に押し出してほしいかなと思っています。