水中ドローンを用いた海底光ファイバーケーブルの新しい点検方法について紹介します!
こんにちは皆さん!島しょ通信担当です。
令和6年2月28日のnoteでは、島しょ地域の生活を支える光の道「海底光ファイバーケーブル」の保守について、海底光ファイバーケーブル(以下、「海底光ケーブル」という。)の点検が難しい島しょの海岸域で、水中ドローンが活用できるかどうかを確認するため、実際の現場で実証を行っていく内容をお伝えいたしました。
今回は、この水中ドローンによる海底光ケーブルの点検を八丈島で実際に実施してきましたので、水中ドローンからの映像も加えて、その概要をお伝えします。
2月28日のnoteは以下URLで!
事業概要は以下URLで!
⛵今回使用した水中ドローンについて
はじめに、今回の点検に使用した水中ドローンを紹介します。水中ドローンの機体選定にあたっては、様々なスペックの物がありますが、次の2つの条件を満たすものとしました。
① 浅瀬部で機体を持ち運ぶ必要があるため、軽量であること。
② ケーブルの状態を詳細に確認するため、カメラ性能が良いこと。
このような条件を満たした水中ドローンの内、今後の活用を期待して選ばれたものが、写真1に示します水中ドローンです!(写真1)
この水中ドローンは、海底光ケーブルが敷設されている水深に対応でき、ダイバー点検時の映像と同程度の4K画質の映像が撮れるものとなります。
<スペック>
サイズ :608×294×196mm
重量 :8.0kg
最大深度 :200m
動作温度 :-10°C~45°C
稼働時間 :最大4時間
解像度 :1200万画素
操作ケーブル延長:200m
⛵水中ドローンによる点検現場
次に、水中ドローンを用いた点検方法について説明します。
(1)調査状況
今回の調査は、以下の気象条件となる日を選定して実施しました。
風が穏やか :風速10m/s以下
波が穏やか :波高1.0m未満かつ潮流1.5kt未満
視界が良好 :1,000m以上が見渡せる
調査方法は、陸地で水中ドローン操作をすることとしました。このため調査範囲は、水中ドローンのケーブル延長と同じ陸地から200mまでの海底光ケーブルとなります。この間の最大水深は5mとなっています。
(2)調査体制
調査体制は、イメージ図(図1)や実際の点検現場の写真(写真2)の通り、水中ドローンを陸地から潜水させ、ケーブルルート上を潜航しながら機体のカメラにより防護状況を撮影することとしています。作業員は4名で実施し、監督員は作業員や海の状況等を確認します。
それでは、実際に水中ドローンで撮影した、海底光ファイバーケーブルの点検映像(動画1)をご覧ください。
動画1 水中ドローンにより撮影した海底光ファイバーケーブルの映像
(3)調査結果
調査結果としては、ご覧頂いた動画の様に、4K画質で鮮明に海底光ケーブルの映像が撮れたため、この映像を基にケーブルの状態を点検することができました。調査中は、波の影響を受けて水中ドローンが流されて、映像が見にくい場面もありましたが、それはダイバー点検でも同様であると考えます。
調査時間は、1時間もかからず点検を終えることができ、ダイバーによる点検よりも短縮することが出来ました。
また、調査において大きなトラブルは発生せず、今回の調査方法においては、大きな課題は見当たりませんでした。今回の実証により、水中ドローンによる点検の有効性が確認できたと考えています。
⛵おわりに
今回は陸域から調査を開始したため、海底光ケーブルの位置が明確であり、ケーブルの位置を探し出す必要がありませんでしたが、今後船上から調査を開始する場合は、映像視野が限られるため、ケーブルの位置を見つけるために時間を要してしまう可能性があるなど、今後に向けた検討事項はもう少しあると考えています。
また、海底光ファイバーケーブルが海底に埋設されている区間については、水中ドローンによる点検が難しいため、引続きダイバーによる点検となります。島ごとの海底光ファイバーケーブル敷設状況等により、水中ドローンとダイバーを使い分けていく予定となります。
東京都では、海底光ケーブルの保守作業における効率化や安全性を向上に向けて、水中ドローンの活用方法を確立していくため、今後も現地での実証を行うと共に、活用の可能性について検討を行っていきます。
今回は、今後の活用が期待される水中ドローンにおける実際の取組状況を紹介しました。引き続き、島しょの高速ブロードバンドサービスを支える海底光ケーブルの更なる安定化に向けて取り組んでいきます。
ここで紹介した島しょ地域の情報通信基盤整備及び保守、運用管理に関する情報や事業概要は、デジタルサービス局ホームページで公開をしていますので、ぜひご覧ください。