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TDPFとトラスト? 実は大切な取組です 

○東京データプラットフォーム(TDPF)の取組について

 こんにちは!都では、3年前に「スマート東京」実施戦略にてデータプラットフォーム推進を宣言し、以来東京データプラットフォーム(TDPF)構築を目指して推進してまいりました。TDPFは、データ利活用推進のため提供者と利用者をつなぐ基盤となり、流通の加速を通じて、都民のQOL向上を目指す事を目的としています。
 これまで、TDPF推進会議及びワーキンググループ(WG)活動で進め方やユースケースについての議論、ケーススタディ事業では、TDPFを利用し様々なデータや利用シーンでの実証実験、データ整備事業では使いやすいデータ形式への取組を行ってきました。そこでは、種々課題があるものの将来のTDPF活用シーンの具現化ができ、協議会参加者の期待を膨らませてきました。
 ただ、データ流通に際して、素材や道具、ノウハウだけを準備するだけで、果たして上手くいくのでしょうか?
 そこで、トラスト(信頼)の登場となります。データ流通には様々な参加者(あるいは当事者、ステークホルダー)が登場します。彼らが一定の秩序をもってそれぞれの役割を果たして、データ流通は成立します。当たり前の事のように思われますが、きちんと設計しないと、中々上手くいかないものです。今回はこのTDPFにおけるトラストについて、できるだけわかりやすく説明したいと思います。

○トラストって?

1.なぜトラストが必要なのか?(データ流通に必要な制度として)

 皆さんよく映像であればYouTube、ニュースサイト、ブログなど無料でも色々なコンテンツを利用されていると思います。それらの情報を全く信頼している訳ではないでしょうし、フィクション・ノンフィクション、玉石混交である事は何となく認識して利用されていると思います。でも詐欺や犯罪が起こる事は稀です。ではなぜ、一定の秩序をもって、こういう情報サービスが運営できるのでしょうか?
 既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、それぞれのサービスでトラスト施策を講じているからなのです。
 では全コンテンツを提供者がチェックしているのでしょうか?ただ現実的にはあれだけの量は大変ですよね。その答えの一つとして利用規約(契約)にあります。

例えば、YouTubeの利用規約はこちらです。

  利用規約には「本サービスの提供者」という条項があり、ポリシー、セキュリティ、著作権について別途定められています。

 別途「コミュニティ ガイドライン違反警告」と条項がありますが、つまり違反行為を定義して違反すればペナルティを与えるルールとなっています。  
これによって、逸脱行為ができない環境を構築しているわけです。つまり、参加者みんなの利益のため、みんながルールを守ってやりましょうという秩序を作っているのです。
 こういった利用規約(契約)は私たちはトラスト施策の一種と考えています。
 その他にも、YouTubeが考える「不適切な動画」を仕分けするコンテンツ・モデレーションもAIを駆使しながら行い、秩序のある動画共有プラットフォームを運営しています。中々見えない部分ですのでわかりにくい所ですが、データ提供にもきちんと黒子が仕事をしているという事は覚えてくださいね。

2.TDPFにとってのトラストとは?

 では、翻ってTDPFにもYouTubeと同じように、利用規約を設定すれば、事足りるのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれません。が、事はそう容易くありません。現実的にはTDPFは扱うデータの種類も違いますし、利用されている方の数も違います。利用規約(契約)は必要ですが、その中身は営利目的の事業と同じにはなりません。
 では、利用規約(契約)は、参加者の皆さんが安全安心に利用できるよう、厳密にすれば良いでしょうか?あるいは最低限定めて自主性に任せるようにすれば良いでしょうか?この辺りは、学生の学校選びと一緒の側面があると思います。校則の厳しい学校から緩い学校までがありますが、皆さんどう考えるでしょうか?もちろん、厳しい学校がいいという方も居れば、束縛されたくないから自由な学校が良いと言う方もいらっしゃると思いますが、マジョリティは両極端ではなくあるバランスの取れたところに落ち着いているかと思います。校則だけが学校の選択肢ではありませんが、こういう民意の重心がどこなのかを探るのが、とっても難しい事です。
 TDPFのトラストも同じ難しさがあります。事業を始めていないので実績や経験はありませんがトラスト(信頼)は築き上げるものと考えています。設定したらおしまいではなく、毎年改善して安全安心に磨きをかけていく予定です。参加者のご理解と魅力あるプラットフォーマーになるべく努力していきます。

3.TDPFトラストの検討方法

 今年度新たな協議会WG活動としてトラスト検討WGを発足させ、活動をしてまいりました。その検討方法についてご説明します。まず、議論が発散しないように目的の明確化を行いました。汎用性があるというよりは、TDPFにとっての観点で設定しています。

※第1回トラスト検討WG事務局資料より

 トラストの対象については、「①データの信頼性」「②データ提供者の信頼性」「③データ利用者の信頼性」「④運営主体の信頼性」「⑤システムの信頼性」の5つを定義しました。

※第1回トラスト検討WG事務局資料より

 そして、それぞれ大分類及び小分類に分けて構成要素を洗い出しました。

※第1回トラスト検討WG内容

 これらの構成要素から論点を設定し、TDPFのトラスト施策の方向性(案)を導き出し、有識者の方々からご意見を頂きました。論点やTDPFでの施策の方向性を見て頂ければ、具体的どう考えどういう施策を考えたかが分かって頂けると思います。

※トラスト検討WG事務局内検討資料より
※トラスト検討WG事務局内検討資料より
※トラスト検討WG事務局内検討資料より

 有識者の皆様からは豊富なご経験を背景とした、様々な貴重なご意見やアドバイス、またご指摘を頂きました。でも、これだけやれば良いという訳ではなく、参加者に安全安心にTDPFを利用してもらうためのトラストの確立までは、まだまだ道のりが長い事も実感してきました。

4.トラスト設計で大切な事

 でもこのまま精度を上げる検討をし続ければ、ゴールとして完璧なトラスト実現に辿り着けるのか?とも思い始めました。現実的に世の中には100%信用・信頼できるものは中々思い浮かびませんし、そもそも何をもって正確であるのか?や信頼性が100%と言えるのか?それを誰が判断するのか?案外これらの要件が変わると違った結果になる事もあります。そういう事を考えると、TDPFは100%信用・信頼できる事に拘るより、例えば100%でなく80%の正確性ですよ、と提供側と利用側がお互い認識が合う事が大事で、それは60%であっても同じではないか、と考えました。
 これは買い物でも同じ事が言えます。スーパーで「訳あり商品」として規格外商品が安く売っていた場合、これらは売れないのでしょうか?そんな事はないと思います。スーパーも商売なので、売れない物を並べません。スーパーが規格外と正直に伝えて、その前提で(ちょっと劣るかもしれないけど)お客様は購入されます。大切な事はお客様から見て、このお店には信頼(=トラスト)があるかということです。参加者との間にこういう関係を築く事がTDPFに最も必要な事で、それを実現するための取組がトラスト検討WGであると考えました。
 そういう観点以外にも、検討事項が多くなってしまうのは、TDPF事業内容がまだ開始していない事も原因と考え、ある程度事業の前提を置いて進める事にしました。
 こちらが、検討中の資料ですが、トラスト施策を絞り込むための前提になります。

※トラスト検討WG事務局内検討資料より

5.第4回トラスト検討WGのお知らせ

 では我々が今年度の活動結果としてTDPFのトラストをどうしようと思ったのか?前述したとおり、規約(契約)だけに頼らず、参加者がトラスト保てるかも考慮した施策を検討してきました。この続きが気になる方へ。東京都デジタルサービス局では、今月17日に他のWGと併せて第4回トラスト検討WGを開催いたします。ご参加希望の方は、以下よりお申込みください。(期限:令和5年2月16日午後5時)

(申込みフォームURL:https://forms.office.com/r/fzaXyp86az

 これまでの活動内容とTDPF事業開始時のトラスト施策案について説明いたします。
 まだまだ、検討が必要な所が多々ございますが、TDPF参加者の皆様とトラストの輪を作り上げていきたいと思っています。

 第1回トラスト検討WGについてはこちらをご覧ください。

【問合せ先】 
デジタルサービス局デジタルサービス推進部
デジタルサービス推進課
TEL 03-5320-7622
E-mail S1100301@section.metro.tokyo.jp