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都庁舎の周りで5Gミリ波の実効速度を調べてみました

 東京都デジタルサービス局ではTOKYO Data Highway基本戦略のもと、世界最速のモバイルインターネット網の構築に向けた活動を展開しています。

TOKYO Data Highwayの概要
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/tokyodatahighway/

 その施策の一つとして、西新宿エリアにおいて「5Gアンテナ基地局搭載スマートポールの先行・試行設置」を昨年度実施しており、この概要についてnoteでもピックアップしています。

 今回は、このスマートポールに搭載されているアンテナ周辺で、5Gサービスの特性である「高速大容量・超低遅延・多数同時接続」の世界に更に近づくミリ波帯と呼ばれる周波数帯の実効スピードについてフォーカスしてみました。

 携帯事業者各社による5Gのサービスが始まって約1年半が経過しましたが、現状各社ともSub6(サブシックス)と呼ばれる、3.7Ghz帯と4.5Ghzの周波数を使ったサービスがメインとなっています。日本では5G用にこのSub6に加えてミリ波と呼ばれる28Ghz帯の高い周波数帯も割り当てられていますが、このミリ波のサービスは日本ではまだ本格的に展開されていません。また、ミリ波対応のスマホ端末も世の中に出回ってはいますが、そのサービスを広く享受できるインフラ環境にはなっていません。

 このミリ波、下の「周波数特性 イメージ図」で示した通り、5Gの特性である「高速大容量・超低遅延・多数同時接続」を引き出すのにより適した周波数帯となり、今後各社ともミリ波の基地局/アンテナを広範囲に展開する予定と聞いています。一方で、高い周波数帯となるので、建物や壁などの障害物に遮られやすくカバーエリアもSub6よりも狭くなってしまう性質があり、Sub6よりも高密度で多くのアンテナの設置が必要となります。

【周波数特性 イメージ図】

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NTTドコモ発表資料を基に東京都が作成

 冒頭に触れました通り、都庁舎前4号街路沿線に5Gアンテナ搭載のスマートポールが都デジタルサービス局の施策で昨年度設置され、5Gのsub6とミリ波の電波が吹いています。そこで、ミリ波って実際どう?という好奇心から、簡易的な測定ですが、ミリ波対応のスマホで、計測用アプリを使って実際のスピードを測ってみました。上記イメージ図の通り、ミリ波のほうがsub6よりも速い結果となるはずですが、どうでしょうか。

 因みに、今年2月に掲載した「5Gって、実際どれくらい凄い?~都庁舎で実験してみた~」の記事で5Gの実効スピードについて触れていますが、これはsub6のものでミリ波ではなかったため、今回はよりその速さが実感できると期待!

今年2月の記事も参考情報としてご覧ください。

【測定風景】

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実際の測定結果は、、、

 測定アプリにはミリ波の電波を示す「n257」と表示されており、間違いなくミリ波をキャッチしています。何回か計測しましたが、下り回線で余裕のギガビット級のスピードが計測され、実感としては「お~、さすが!」といった実効速度を見て取ることができました。そしてsub6の電波を拾う場所でも同様の計測をしたところ、予想通りミリ波ほどのスピードは得られませんでしたが、LTE (4G) と比較すると「ハヤ!」という感覚の数値でした。

 この実効速度についてですが、実感としての評価は実際使用するアプリや用途によって感じ方が全く違うかと思います。また、今回の測定は、あくまでもある一地点の瞬間的な実効速度となるので、周囲の環境/ネットワーク自体の環境/時間帯/混み具合など、いろいろな要因によってこの実効速度の数値も変わってきます。従って、ある一定速度の値を必ず保証するというものではないんですね。

 ところで、このミリ波を使って何するの? という大きな問いがでてくると思いますが、よく耳にするのが車両の自動運転、遠隔医療、AR、ドローン制御などがあります。我々の生活にそれらのサービスが浸透しているかというと、まだまだ体験したり見かけたりする機会は少ないですよね。ただ、このミリ波と、近い将来展開されると見込まれるSA (Stand Alone)※というネットワーク構成が、5Gの特性をフルに引き出した新サービスの実現への一歩となります。

※4Gに依存せず、5Gの基地局を単独で動作させる方式

 東京都においても、この新たなサービスの早期の実用化、誰に対してもより便利で安全な社会の実現への一つのツールとして、携帯事業者各社をはじめとした民間事業者と連携して取組を進めて参ります。