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リュック・ベッソン監督映画のイントロに関するちょっとした話


 最近、妙に映画づいてる自分なのですが、先日、プルンパーゴさんの映画記事を読んで、久しぶりにリュック・ベッソン監督の「グラン・ブルー」を観ました~。
 やっぱ地中海の青は美しい!


 1988年、大学生の頃、あの「サブウェイ」の監督の新作という事で、映画館に観に行ったのですが、日本で公開されたのは国際インターナショナル版で、公開時は「グレート・ブルー(英題は ”THE BIG BLUE” )」というタイトルでした。

 海の深い青が美しい映画なんですが、冒頭はモノクロなんです。
 後に来る青が、より映える意図なのでしょうか… 
 こういう監督の仕掛けって好きなんですよね。


 抑制的なエリック・セラの音楽に、モノクロ画像で、上空からの海面をとらえたスピード感ある画面、このイントロ部分が、けっこう好きだったんですよね~
 最初は、モノクロということもあって、何の映像か分からなかったりするんですが、その「何か分からない」と、想像させる部分がいいんです。

 モノクロに青いタイトル文字が映えますよね!


 始めは上からのアップで移動していて、やがて横視点となっていく、カメラの視点移動!
 よく分からない映像で、一瞬想像させながら、後で映画の舞台をガッツリ示していくこのイントロがいい感じなのです。

 この(個人的には)印象的なイントロは、実は、後のベッソン映画でも繰り返し使われていたのをご存知ですか?
 こんな部分を気にする人は少ないのかもしれませんが、相似性を見せるベッソン監督の演出を見ていきましょう。


「Nikita」1990


 冒頭だけ見ると、まったく同じ雰囲気なんですよね。
「また海面なのか?」と思わせておいて、視点が移動すると濡れた道路だったことが分かるという…

 文字色も「グランブルー」とは対照的な ”赤” で、音楽も不穏な感じです。 
 それなのに始まりの映像に相似形を持ってきて、今度は、全く違う風景を提示するという… この確信犯的な、リュック・ベッソン監督の演出に痺れたんですよね~。


 そして、次の「レオン」でも、相似性が見られます。

「LEON」1994

 冒頭、これまでと同様に上からの視点で高速で移動してるようですが、なにが映っているかは分かりません。
 ただ、森の木々の様子が見えてきて、どうやら陸地らしいことが分かります。
 そうして、視点が移動するとニューヨークの街並みが現れてタイトルバックとなるという.. 
 ああ、今回はこの街が舞台になるんだ!っていう…
 いよいよアメリカに進出したぜ!って、監督の意気込みが出てますね。


 イントロの相似性の趣向なんですが、もう、ここまで来ると「お約束」というか、ベッソン映画の楽しみ方のひとつになっちゃうんですよね。
 どこまでやるつもりだろう?みたいにも思っちゃいますが、実は、次の「フィフス・エレメント」で終わりになります。


「The Fifth Element」1997

 いつものように上からの視点で高速で移動してるんですが、見えてるものが何かは分かりません!
 やがて、視点が移動すると、なんと銀河系が!!
 あまりにも広大なスケールでしたが、ちょっとやり過ぎ感も漂いますよねw


 一応、この「フィフス・エレメント」以降の映画ではイントロの相似性は見られなくなっていくんで、この4作に限ってなんですが、こういう遊び心のある演出が楽しいのです。

 久しぶりに観た「グラン・ブルー」のおかげで、そんなことも思い出してしまいました。
 どうやら、ひとりベッソン祭に突入しそうな感じです!



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