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エイドリアン・ラインの光と影

 Adrian Lyne


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 エイドリアン・ライン(1941年3月4日 - )
 イギリス出身の映画監督、プロデューサー

 エイドリアン・ライン監督作品については、実はすべての作品を観てるわけではないのですが、自分が映画を一番観ていた時期に追いかけていた監督の一人なのです。

【監督作品】
1.フォクシー・レディ(1980)
2.フラッシュダンス(1983)
3.ナインハーフ 9½ Weeks (1986)
4.危険な情事(1987)
5.ジェイコブス・ラダー(1990)
6.幸福の条件(1993)
7.ロリータ(1997)
8.運命の女(2002)


 これまで、8作品を監督していますが、自分が観てるのは太字の5作品なんで、これらの作品を中心に "note" していきたいと思います。


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『フラッシュダンス』

 1983年公開
 主演: ジェニファー・ビールス

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 自分が中学生の頃大ヒットした青春映画。
 ジェニファー・ビールス演じる主人公が、数々の試練を乗り越えオーディションに挑戦する姿を描いた映画です。

 主題歌や挿入歌も大ヒットして、映画はもちろんですが、サントラ盤、MTVとの相乗効果を生んで、その後のサントラブームの火付け役にもなった映画でした。
 個人的には、道端で、警備の人がブレイクダンスを披露するシーンが印象的でした。

「Flashdance...What a Feeling」:アイリーン・キャラ

「Maniac」:マイケル・センベロ


 翌年に公開されて、これも大ヒットした『フットルース』と比較すると、『フラッシュ・ダンス』の方が画面が暗いんですよね~、圧倒的に...
 この濃いめのコントラストが、エイドリアン・ライン監督作品の特色でもあるんですが、この映像の雰囲気にハマっていくわけなんです。



『ナインハーフ 9½ Weeks』

 1986年公開
 主演: ミッキー・ローク、キム・ベイシンガー

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 目隠しや氷を使った官能的なシーンが話題になった映画でした。
 あまり大きな声では言えないんですが、エイドリアン・ライン監督作品で一番好きな作品だったりします。

 9週間半の中で出会いから別れを描いたこの作品。
 恋愛物といえば恋愛物なんですが、私が観た時はサスペンス映画みたいに感じたんですよね。

 前半は恋愛物でも、その関係に恐怖しはじめた後半は、徐々に壊れていく様子がサスペンスだったんですよね。(官能的なシーンにドキドキしたわけではないのですよ、ほんと... )

 ニューヨークの風景が、昼と夜では表情を変えて描かれていて、その様子が、とてもスタイリッシュに映ったんですよね。
 エイドリアン・ライン監督の描く濃密な影に魅了されてしまったのは、この作品を観てからなのです。

 なんとなくイギリス出身の映画監督って、こういう冷えた感じの画面を巧みに使うんですよね。



『危険な情事』

 1987年公開
 主演: マイケル・ダグラス、グレン・クローズ

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 世の男性の何割かが、相当、反省したという噂の大ヒット映画。
 こちらは、ホントのサスペンス映画で、個人的にはグレン・クローズが灯りを付けたり消したりするシーンや、最後が怖かったです。

 映像的には『ナインハーフ』のようなスタイリッシュさが感じられず、ちょっと、残念だったんですよね。
 マイケル・ダグラスの地声が苦手だし(すみません💦)、グレン・クローズも登場時からちょっと怖くて(すみません💦)、今ひとつハマらなかった作品なんです。



『ジェイコブス・ラダー』

 1991年日本公開
 主演: ティム・ロビンス

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 「ヤコブの梯子」と題された映画なんですが、ちょっと精神的に病みそうな感じの映画なんです。
 "昼は幻覚や幻聴に悩まされ、夜は悪夢にうなされ続けるベトナム帰還兵の体験する恐怖を描いたサイコ・スリラー"なんですが、主人公が見る幻覚がかなり怖いんです。
 普通の生活に異様なものが差し込まれてたりして、観てる間、ずっと緊張してるんで、最後はへとへとになる映画でした。

「人は、一日に一歩ずつ『ジェイコブの階段』を登っている」

 キャッチコピーに嘘はないんだ、ということは、観終わってから分かります。

 光と影を効果的に使った画面が特徴のエイドリアン・ライン監督なんですが、この映画では ”影” というより ”闇” なんですよね。
 何度も観たいとは思いませんでしたが、作品世界と映像がマッチしたスリラーの傑作だと思います。



『幸福の条件』

 1993年日本公開
 主演: ロバート・レッドフォード、デミ・ムーア

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 今回、あらためて、当時のポスター画像を見たら”全米No1大ヒット”と書いてますが、ほんとかな...
 物語は、お金に困った夫婦がカジノで知り合った富豪から“百万ドルで奥さんと一夜を共に”との申し出を受けて、いろいろ葛藤していくって感じの内容なんです。
 お金か愛か... ってやつなんですが、『危険な情事』以上にゲスく感じてしまってですね... ちょっと合わなかったかな...

 まあ、恋愛物ではあるですが、金か愛かと揺れるとこにサスペンスもあるとこは『ナインハーフ』に通じるものもあるんですが、ロバート・レッドフォードがゲスい役を演じるのは何だかな~という印象だったのです。

 デミー・ムーアは魅力的だったんですが、それ以上にレッドフォードの色気がね... すごいです。
 それが、最大の見どころでした。


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 自分にとってハマる時とハマらない時の差が大きいとこが、記事タイトルとした ”光と影” なんです。

 エイドリアン・ライン監督は、その後、『ロリータ(1997)』、『運命の女(2002)』と発表しているのですが、残念ながら観てないままなんですよね。

 こう、ちょっと特殊な男女関係を描いた原作の映画化が多いのが特徴なのですが、10年ぐらい前に、新作を撮るってニュースが流れたんですよね。

 それが、パトリシア・ハイスミス(太陽がいっぱいの原作者)の長編小説「水の墓碑銘:Deep Water」ってやつなんですが、これが、2019年に、ベン・アフレック主演するエロティックスリラーってニュースが流れたんですが、その後、どうなんでしょうね。

 久しぶりにエイドリアン・ライン監督の光と影のある映像を観てみたい気になってるんで、ちょっと楽しみにしてるのです。




→追記

 その後、映画は「底知れぬ愛の闇」というタイトルで完成し、2022年3月に配信公開されました。


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