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iPhoneProを買っても飄々としていられる大人になりたかった

「あ、新しいiPhoneにしようかな。」

そう思い立って1時間後、私のカバンの中にはiPhone15Proが踊っていた。


私がこれまで使っていたのはiPhone12で、写真を撮ると何故か固まる(ことが頻発する)状態になっていた。
iPhoneを使っている理由の8割が(主に子供の)写真を撮るためなので、こりゃもう、ストレスでしょうがなかった。

何度かサポートに問い合わせて、リカバリーモードやら初期化やら試してはみたものの、一向に改善されず。
ストレージが逼迫しているわけでもないので、みんな首を傾げるのみ。
残された手段は「iCloudから復旧しないこと」と言われたが、それはアプリなどを手動で一からインストール&再設定することを意味しており、あまりに不毛なので、当面は再起動(すると、一定の時間は不具合が起こらない)でしのぐことにしていたが、いよいよどげんかせんといかん状態になっていた。


加えて、3つのレンズに憧れていた、ということもある。
3つのレンズがついたiPhoneを保有するママ友から送られてくる写真は、やっぱり綺麗だなーんと思っていたからだ。

さてここで、少しだけ真美子さんの話をしておきたい。
真美子さんとは、何を隠そう、オオタニ選手の奥様(パートナーと言った方が、今の時代に適しているかもしれない)のことである。

一時期、ネットのしょうもない記事で、「真美子さんのiPhoneは2レンズのカメラ(無印)で、好感が持てる」と、もてはやされていた。

真美子さんですら2レンズを使っているというのに、私ときたら、身分不相応にもほどがある。
かっ、喝!!!!

でもちょっと待ってほしい。
オオタニ選手やデコピン、真美子さんを撮ってくれるプロカメラマンは世界中にいる。

真美子さんのiPhoneの画質が最上級じゃなかったからと言って、そんなに困らないのかもしれない。私だって、子供たちの写真をナイスタイミングで超良いカメラで撮ってくれるカメラマンがいたら、iPhoneに頼る必要なんてないかもしれない。

むしろ、「無印iPhoneの画質って、ちょっとレトロな感じで良いな」くらいに思われているかもしれない。
そんなわけで、私は何の負い目も感じず、3レンズのiPhoneに憧れを抱かせてもらうことにした。


話を戻すと、今のiPhoneを購入したときは、「レンズの数によらず、機種が新しくなれば画質が綺麗になることには変わりはないので、そこに差額ほどの価値はない」という思いで、無印のiPhone12を買ったと記憶しているのだけど(大体4年弱前になるだろうか)、結局、元々ガジェット好きでもある私は、3つのレンズに興味を惹かれ続けることになった。

そんな経緯があり、この連休。
思い立ってオンラインストアで検索し始めたところ、iPhone16の発売を控え世間が血湧き肉躍る状態のこのタイミングでは、iPhone15以前のProはすでに発売が終了していた。

かといって、発売されて直ぐのiPhone16Proを買うほどの熱意と余裕はないしなぁと、半ば残念に思いながら、子供が美容室へ行っている待ち時間にApple Storeをぷらついてみることにした。

担当者サナエ(仮名)がちょうど手持ち無沙汰だったようで、「担当させていただきますーっ!」と自己紹介をしてくれた。

Appleの店員さんってフランキーズザベストで、縦割り社会野郎で軍隊の如く鎬を削ってきた私からすると、そのギャップが眩しすぎて全身の鳥肌が立つ。ぐぐぐ。単刀直入に言うと、大変心苦しいが苦手な部類である。

「今iPhone12を使っていて、ちょうどこの後旅行や子供の行事を控えてるので、カメラの性能が良いものに変えたいなと思ってるんですけど、3つのレンズがついた機種を使うには16を待つしかないですよね…?」

思いつく限り単刀直入に要望を伝えると、

「あっ、iPhone15Proありますよー!いかがでしょー??」

あるんかい。

あった。iPhone15Proあった。
これは、冷やかしでは済まされないかもしれない。

どうやら、このタイミングでiPhone15Proを買うには店頭の在庫をゲットするしかなく、しかも、新機種が出ることから15,000円値下がりしているらしい(byサナエ)。

159,800円。
くーっ、でも、ちまちまと貯めたアップルギフトカードが、少額ながらある。

「えっ、買います。」

言った。言葉が喉をついた。やったった。
実はこの直前に、夫に電話している。

「15万円くらいなんだけど、どう思う?あなたも買う?」(謎のサバ読み&誘い)
「おー、よくわからんけど、いんじゃない?おれはいいや。」

ここで事前に夫に話したのは、許可のためではなく、出費の痛み分けのためである。
色は選べなかった。
でも別にどの色でもよかったし、そこは問題なし。

AppleCareに入るかと聞かれたので、入ることにした。2年分一括で。いつか払うのなら今払っておけば、未来の自分に感謝されるはず。

「では、お会計191,600円です。」

どあぇえええええたっかぁぁぁああああ!!
正味200,000円!!!
うそだろ?嘘って言ってくれ。

さっき夫に、正味150,000円くらいのテンション(なんなら、ギフトカード使えるからちょっとはやすくなるゆ)で話しちゃったことに対する謎の罪悪感がふつふつと現れてきた。

ちょっと良いパソコン買えるやん。
がーん、がーん、がーーん。

そんな気持ちが脳みそいっぱいを占めながら、今更サナエに「えっ、やっぱいいです」なんて言えるはずもなく、余裕綽々な顔してクレカを差し出し、無事決済完了となった。

…思い立ってからここまで、1時間後のことだった。



これは我ながら感心するところでもあるのだが、妙に決断が早い時がある。

それは主に、
「希望以上の代物だが予算的にさすがにNGだろう」というものと、
「全ての希望を満たしはしないが予算に収まる」
というものの間で選択を迫られている時に、
「希望を程よく満たすが程よく予算も超過するもの」が突如選択肢にINしてきた場合に起こりがちだ。

婚約指輪を選んだ時もそうだった。

0.35カラットと、0.78カラットの選択肢の狭間で1時間悩んで、「流石に0.78は高すぎるしデザイン的には0.35でも十分」という結論を出してパートナーとお店に戻ったところ、「⚪︎⚪︎様!0.6カラットもございました!」と、提示され、「あっ、じゃあそれにします!」と即決し、パートナーを戸惑わせたというエピソードがある。

差額は覚えていない。
このタイミングで最も私にぴったりな選択肢が半ば運命的に現れた!というのが、何よりもミソなのである。

大胆不敵とはこのことだろう。普段その力を別の場所でも発揮できたら良いのになと思う。


ちなみに、保護フィルムは、ストアで買うと6,000円以上するらしく、自分で買ってつけることにした。「ここ高いんで、自分で買った方いいですよ!」って言ってくれたサナエ、スペシャルサンクス。

帰り道にケースを買い、保護フィルム到着まで絶対に画面に事故があってはならぬと、丁重にお取り扱いしているところナウ、である。

  • 保護フィルム2,000円

  • ケース1,500円(セールだったまじ助かる)

  • スマホリング2,000円

  • 充電器3,000円

と、プラス8,500円もコストがかかってしまった。ガチモンの200,000円。
おおおおおお。しびれるうううう。

新しいiPhoneで撮った最初の1枚


どうだろう。
ムービーを撮っても、写真を撮っても、スピード感あふれる瞬間を押さえても、キレッキレな画質である。

シャッターを押した途端に固まることもない(今のところ)。
前回5時間くらいかかっていた移行が、クイックスタートなるものにより、簡単に終わった。
すごくない?これ。どういう原理??幽体離脱からの憑依??

せっかく買ったのだから、活用しなければもったいない。高額決済の不安の波が一旦落ち着き、じわじわと嬉しさが込み上げてきている今日この頃である。

身分不相応の私がすべきは、飄々とではなく、ニヤニヤなのかもしれない。
不安と嬉しさを感じられる感性を、大事にしておきたいものである。

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