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運命を変える出会い #4

今夜もまた遊びに出かける
すっかり定着してきたいつものメンバー

今回はその中の一人が購入した車が納車されたらしく
みんなで初乗り

車を買ったその人は唯一の社会人で
介護の業界にいるだけあって
雰囲気も柔らかく優しい目をしていた

後部座席に友達カップルが座ることで
自然と助手席に収まってしまった私

ふと視線を感じて横を見ると
その優しい目が私の目を見つめていた

反射的に口角を上げて笑顔を作り
何食わぬ顔で目を逸らす

その後次の約束を提案されたけど
次もまた「みんな」で遊びたいな
なんて、嫌な断り方をしてしまった

特定の誰かがいるわけでもないのに
とてもいい人だったのに
私はそれ以上の関係になることを拒んでいた

愚かだ
馬鹿なことだと自分でもわかった

だけど
その時はすでに人に言えない恋に落ちていたのだ

自覚したくなかった

友達にも言えない
言いたくない
そんな恋愛なんて望んでなかった

でも諦められない

伝えなければいいんだ
このまま友達でいればいい
でも伝えたい

さっきから頭の中をグルグルグルグル

ピロン♪
メールの着信音が鳴る

文面を見る手が震える
ドキドキしながら返事を何度も打ち直す

あー
もう取り返しがつかない

この気持ちどうしてくれよう


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