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アンゴラから帰れなくなりそうになった話

Gerhard G.によるPixabayからの画像

これまでアンゴラについては内戦絡みの話が多く、
「アンゴラから帰れなくなりそうになった」
などというと、

「えっ、何かトラブルに巻き込まれたとか?!」

と心配して下さる方もいらっしゃるかもしれませんが、

これは2005年頃に起きて、
後にこの一行の懐かしい笑い話と化した話です。

*****

その日は朝9時頃ホテルのロビーに集合、各自チェックアウトを済ませたら
荷物を車に積んで空港へ向かうという予定でした。

全員チェックアウトを済ませ、

さて、外で待っているであろう運転手を呼ぼうと
外へ出てみると、

「あれっ、誰もいない!」


しかも、我々の運転手のみならず、普段なら沢山止まっている車もなく、

ガランとしたホテル前のラウンダバウトには
ぽつんと警官が一人突っ立っているだけです。

「なんじゃこりゃ~!」


慌てて運転手に電話を掛けると、

「何が起きているのかは分からないけれど、
○○のところから通行止めになっていたんで、
△△側からトライしようとしたんだけれど、
そこも通行止めで、アワワワワ…」

と、困り果てた様子。

その運転手が懸命に説明している最中に、我々の目の前を

数人のランナーが通り過ぎ…、

そこで

「もしやこれって…、マラソン大会~?!」


との、とんでもない推測に至りました。

*****

さて、困りました…。

毎日欠かさず現地のテレビニュースを観るようにしていたのに、
マラソンがあるなんて聞いていません。

ホテルの人に聞いても、「そんなの知らなかった」と言うし…。

運転手が言っていた二つの地点も、ガラガラとスーツケースを引いて
歩ける距離でもありませんし、そもそも安全を考えたら
そういった行動は避けた方がいいということにもなりました。

何はともあれ、
あとどれくらいで通行止めが解除になるかを探ろうということになり、

ランナーが来ていない瞬間を狙って
ラウンダバウトにいる警官のところまで行き、

「あとどのくらい掛かる?」

と聞いても

「分からない」

というので、

「じゃあ、何時から通行止めになってるの?」

と聞いてみると、

「自分は7時頃からここにいる」

とのこと。

「ということは、もう2時間以上経っているから、あと2時間程度で
通行止めが解除になる可能性がある」

という見通しが立ちました。

「見通しが立った」といっても、
日本やその他の「普通の国」であれば、この時点で完全にアウトですよね。

だって、普通の国の場合、
人は空港に2時間前までに着くように出かけますから、
その出発が2時間遅れたのでは…

ですよね…。

ところが、ところが!

「うん、致し方ない。通行止めが解除されるまで待とう!」

ということになり、

当初予定の3時間遅れで空港に着き、それでも何の支障もなく、
無論、飛行機が遅れたわけでもなく、
普通に飛行機に乗ってアンゴラを「脱出」しました。

*****

「えっ、なんでそうなるの?!」

ですよね?

それでは種明かしです。

実は、アンゴラの空港では
国際線なら5時間前から、国内線なら3時間前から
チェックインが始まるんです。

それは、

・そもそも一人一人をアテンドするのに時間が掛かるから。 

・急に乗りたいというおエライさんとかが来る可能性があり、
 そうなると、ロジが大変なことになり、時間が掛かるから。

・出国審査のあとに所持金検査があり、それに引っ掛かる人が
出ると、別室に連れていくなど、時間が掛かるから。  

・チェックインが済んだことになったあとからも、中で荷物の
  X線検査を行い、怪しいと思った場合は、乗客を呼び出して
荷物を開けさせたりと、時間が掛かるから。      

等々、
理由はいろいろとあるのですが、

今回の思い掛けないマラソン大会を含め、
そもそも何かと思い掛けないことが起こりやすい国であること、
私が以前2時間前にチェックインしようとしたら、
おエライさんにビジネスシートを取られてしまっていたという
経験談を話していたこと、
一人ひとりのアテンドに時間が掛かるため、
早めに行かないと、列がどんどん長くなって、
待ち時間が長くなるばかりであること
等を踏まえて、

この一行では、
チェックインが始まるちょっと前に空港に着いて、
最初の10人以内に並んでしまうこと

というのがルール化されていたんです。

しかも、早く行き過ぎて、周りに欧米人らもいない中、
黄色人種の我々がボサ―ッと待っていると、
因縁を付けてくる「金くれ警官」とかが現れるから、
「あくまでもチェックインのちょっとだけ前」
という「申し送り付きのルール」です。笑

ですから、
朝9時に出かけて、車で15分程度の空港へ向かい
乗ろうとしていた
(というか、実際乗った)
飛行機の出発は13時半過ぎで、

その時は幸いおエライさんに席を奪われるようなこともなく、
チェックインのピーク時間を過ぎていたため、
既にカウンターは空いており、
他にもトラブルは起きなかったため、

無事出国できたというわけです。

ちなみに、そのフライトの行先は、
南アフリカのヨハネスブルグ。

3時間半のフライトで、
ヨハネは+1時間の時差があるので、
到着すると既に夜…。

つまり、毎回空路3時間半の移動のために
丸一日を費やしていたのです。

そんなこともあり、内戦後もアンゴラからの帰路に就く日は
出張中で一番キツイ日で、
未だにアンゴラからの「脱出」
というイメージがあります。笑

1日掛かりのこの移動日を最後に過ごしたのは、
今からわずか2~3年前のことですが、
当時と比べれば、空港はきれいでモダンになりましたが、
それ以外は、な~んにも変わってはいませんでした、はい。

なんだかハラハラドキドキ感のない
書き方になってしまって、すみません。(苦笑)

でも、信じて下さい!
通行止めが解除になるまで、
運転手が無事ホテルに到着するまで、
空港でチェックインカウンターがまだ開いているのを確認するまで、
無事荷物チェックや所持金チェックを通過するまで、
ひいては
飛行機が無事離陸するまで、

本人的には、間違いなくドキドキ続きの一日でした。爆!

本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!

ヨハネに着いたら、もうこんな ↓ 笑

元気のないモチ

※「元気のないモチ」はこたつぶとんさんの作品です。






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