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ピッチ

私がまだ2歳くらいの頃、
我が家に小さなオスの子犬がやってきました。

捨て犬だったと聞いています。

私の両親は、
小さくてボロボロのそのワンコを、
取り敢えず小さいからと、「チビ」と名付けました。

ところが親が何度「チビだよ!」と言っても、
小さな私は「ピッチ」、「ピッチ」と
言ったのだそうで、

そのおかげで(笑)子犬の名は、
ありきたりの「チビ」から
「ピッチ」へと変更されました。✌🏻

拾われてまもないピッチと Shiomin
(我が家のベランダにて)

画像1


そして、当たり前ですが、Shiominがそんなに成長しないうちに
ピッチは大きくなりました。>笑

画像2

このピッチ、
先程も書きましたが、オスなのですが、

変なクセがありまして...。

捨て猫の赤ちゃんを拾ってきては
育てるんです…。

オスだから、おっぱいなんか出ないのに、
子猫はピッチの小さな乳首を一生懸命吸います...。
(可哀そうに...。)

結局人間がミルクをやって育てることになるわけですが(笑)、
少し大きくなって、やんちゃになると、

ピッチが、「そこは乗ってはいけない」だの、
「それを引っかいちゃダメ」だの、
やたら厳しくしつけます。

すると、猫は…、猫なので、

「うっせぇ~、うっせぇ~、うっせぇ~わ!」

とばかりに、

チャンスを見計らって逃げてしまいます。 >爆!

すると、ピッチが、また別の赤ちゃん猫を拾ってきて…
という繰り返し! >orz...

🐶🐈🐶🐈🐶🐈

そのヘンテコな性癖(?)を除いては、
ピッチは非常に賢くて、
よその家の犬が逃げたので捕まえるのを手伝ってと
言われれば、即座に外側から上手に追い込んで
連れ戻してくれたりもしたそうです。

🐕🐕🐕🐕🐕🐕


一方、母の実家にも老犬がおり、
こちらは「クロ」という名前でしたが、

例によって、ちいさな Shiomin は
「クロ」が言えなくて、
「きろ」、「きろ」と呼んでいました。

でも、その犬は私が生まれるよりずっと前から飼われていましたから、
名前が変更されるようなことこそありませんでしたが、

代わりに
母方のおじいちゃん&おばあちゃんの愛称が
「きろじいちゃん」と「きろばあちゃん」になりました。>爆!

日本人とは思えないほど色が黒いけれど、
若い頃は日本橋小町と呼ばれたこともあるという
きろばあちゃんと Shiomin

画像3

それにしても、私が「くろ」と発音できなくて良かった!
でないと、「くろばあちゃん」になっちゃう!>笑 
 ↑ まんまじゃん!    

🌷🌷🌷🌷🌷

このクロというおばあちゃん家の犬は、
ピッチが来た頃には既におじいちゃん犬だったのですが、

ひょんなことから一度だけこの2匹を引き合わせて
一緒に遊ばせたことがありました。

そして上のおばあちゃんとの写真の時から
1年程経った頃でしょうか、

クロは病気がちになりながらも
ヨタヨタとしながら一人(一匹)で散歩に出かけることがあったのですが、
ある時野犬狩りに遭ったのです。

それを目撃した近所の人に知らされた祖母が
迎えに行こうとすると、

祖父が

「あの子ももう永くない。看取るのも苦しいものだから
運命だと考えて、このままにしておけ」

と言ったのだそうです…。

今から60年近く前の話です。
今だったら考えられませんが、
当時は封建的な考えの祖父が言うことには
誰も逆らえません。

中年以降の母であれば、
そんな話を聞いたら、即刻自分で迎えに行っていたでしょう。
そんな母も当時は逆らうことはできませんでした。

野犬狩りに遭うと、3日後には殺処分になってしまいます。

*****

クロが捕まって2日経った夜中、
我が家のピッチが急に苦しみだしました。

夜中ですから、
取り敢えず様子見ということになりました。

翌朝は、
父が午前中は用があったようで、

よくならないようなら午後にでも犬猫病院でも捜すかと
いった話だったらしいのですが、

あっという間に、これは誰が見てももうダメだという状態になり、
クロが殺処分になったであろう時間に
逝きました。

家族の誰もが

「お人よし(お犬よし?)のピッチのことだから、
臆病者のクロに呼びに来られて付き合ってしまったんだろうね…。」

と言いました…。


湿めっぽい話にて失礼致しました。

月夜の魔女

※ 「遠い思い出」、否、「月夜の魔女」はこたつぶとんさんの作品です。


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