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モザンビークで動き出した飛行機を止めて乗り込んだ話

その時は
モザンビークの首都マプトから1500キロ弱離れた町にいました。

マプトへ戻る飛行機のチェックインをしていると、
滞在中お世話になった、その町に住んでいる邦人の方がやってきて、

「皆さんの乗る飛行機が
マプトをまだ出発していないとの連絡がありました。

今日の飛行機は、途中の町に寄ってからこちらに来るので、
現時点でマプトを出発していないということは、
最低でもあと3時間はこちらには到着しません。

ここにいたのでは飲み食いするところもありませんから、
よろしければ、我が家にいらっしゃいませんか。

飛行機が飛んだら、マプトから電話で連絡してくれますので、
そこから時間を見計らってこちら(空港)に戻ればいい」

とおっしゃって下さいました。

一行は、そのお言葉に甘えて、
チェックインだけ済ませてその方のお宅にお邪魔し、
その方の奥様がご用意下さった
貴重な日本米のおにぎりをいただいたりして
快適に過ごしていると、
まもなくマプトから電話が入り、

飛行機が無事マプトを出発したこと、
途中の町での待ち時間は通常30分程度であること、
そこから考えると、もうあと一時間程してから
そのお宅を出れば、ちょうどタイミング良いこと

等を知らせてもらいました。

こうして、そこから1時間後には
奥様に本当に有難かった旨を伝え、
いざ空港へ。

小さな町なので、空港までは15分かかるかどうかといった近さ。

その間飛行機が飛んでくる姿も見えず、

「ああ、まだ来てはいないようですから、時間も問題なさそうですね」

などと言いながら、
空港の入り口付近まで来ると、

「ん?飛行機のエンジン音がする?!」

「あれっ?!まさか出発しようとしている?!」

「ヤバい、みんな、走れーっ!!!!!」


それはそれは小さな空港のこと、

すぐに搭乗口まで辿り着き、
行く道を阻もうとする係員に、

一行はマプトとの連絡が取れていたことを説明した上、
この飛行機は、別の町を経由したのではと訊ねると、

「出発時間が遅れたから、経由地は『パス』してここまで来た」

のだと…。

「えええっ、何それ~!!!」


そこで、仕方がないので、
一行が、モザンビークへの支援のためにやってきたミッションであること、
翌々日には帰路に就かなくてはならないこと等を
必死に説明すると、

係員は、
ちょっと待つよう手で合図しつつ、搭乗口の外へ。

そうこうしている間に、飛行機は既に
滑走路に向けてタキシングを始めており、

正直、これではもう無理だろうと
思っていると、

係員の合図に応えた飛行機が停止し、

取り外されたタラップと我々の荷物が
飛行機の停止した地点まで運ばれ、

そのあとを私達一行が着いていき、

無事乗り込んでマプトに帰れてしまったのです!!


*****

ちなみに私たち黄色人種の一行が乗り込んだ際の
他の乗客の白い眼は、いまでも忘れられません…。>苦笑

長い待ち時間を、飲まず食わずでひたすら空港で待ち続けた人々です。

本当に申し訳ない…。

*****

携帯すらない時代、
たまたま固定電話で連絡係をしてくれる人がいたことで、

そうでない人々に迷惑を掛ける結果となってしまった一件でした…。

*****

それにしても、

出発が遅れたから経由地には寄らないって…。

途中の町へ行こうとしていた人達はどうなったのやら…。

日本の鉄道で

「この電車は各駅停車ですが、現在遅延が発生しているため、
次の駅には停車しないことにしました~」


というアナウンスがあったら、どうなるんだ?!?!

とか思ってしまいました。>笑

本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!

タコ 怒る

※ 「白い眼の乗客」ならぬ「タコ 怒る」はこたつぶとんさんの作品です。


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