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去り際の横顔=永遠の肖像

棋界では
藤井聡太五冠の快進撃が止まらない。
フィギュアスケートでは
鍵山優真選手が銀を獲得、
スビートスケートでは
高木美帆選手が新女王となった。
どんな世界にも世代交代はある。
 
かつては、永世七冠を誇る羽生善治氏、
五輪連覇の羽生結弦選手、
スピード界で日本女子初の金獲得の
小平奈緒選手が、不動の王者だった。
勿論、こうした方々も
まだまだ上を目指せるし、
その可能性はある。
一方で、はやり刻々と世代交代のときが
近づいていることは、否定出来ない。
 
かつての王者は後輩に実力面で敗れ、
道を譲る。
弱肉強食に映るこの習わしは、
その実、そう残酷ではない。
 
なぜなら、その時代ごと、
トップに君臨した背景やタイミング、
競争環境やスター性が異なるからだ。

僕は、AIなどなかった時代に、
七冠の偉業を達成した羽生さんは
本当に強かったのだと実感できる。
 
また、羽生結弦選手はメダル以上の輝き、
常に、美しさと凛々しさがあり、
また、今回の五輪ではメダル獲得者以上に、
挑戦する勇気と希望を世界に明示した。

小平選手は前回の平壌五輪で
自分に破れた韓国の選手を慮り、
彼女に寄り添い健闘の称え、
優しさをみせた。
スポーツ精神は国境を超えることを
とっさの振る舞いで明示した。
 
トップに立つには
運も作用するということは、
天恵でもあるということ。
であればこそ、
各界を牽引するトップランナーが
出来るだけ長くそのポジションを
保持するには、人一倍謙虚であり、
感謝を忘れず、
自分を研き続ける求道精神、
そうした人格が必要なのだろう。
  
これはビジネスパーソンの世界でも同じ。
多くの人を束ねるリーダーポジションであれば、
仕事の実力以上に、雅量に富み、
清々と凛々しい生き方、
人心掌把力が求められる。
 
そして、ひとつだけ確かなことは、
こうしたポジションの人も
下山開始の日が必ず来るということ。
突然に、誰かにその席を譲る日が
来る場合もある。
そして、そこから役割が変わるのだ。
その新たな任務も天恵である。
 
その去り際に、
いかなる振る舞いや佇まいを見せるか、
その残像と残響が、
その人の永遠の肖像となる。
そのとき、わかるのだと思う、
その人が本当の本物であったかが。

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