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大寒に聴く一枚、静けさを奏でるバリトンギター

寒風が吹き、しんしんと雪が降る、
そんな午後に聴く、
うってつけのアルバムがある。

たった一本のギター、
バリトンギターの持つ深みを
いかんなく発揮している。

でも何の企みも飾りもない。
自然体なのだ。
まるでギターに命が宿っている
そんなふうにさえ感じられる。

世界的ギタリスト、PAT METHENYの
ソロアルバム「WHAT'S IT ALL ABOUT」。

静かな佇まい。
さりとて、躍動と静謐、
情熱と冷静はしっかりと盛り込み、
いつの間にか聴く者を
大きな力で包み込む。

この時期にこそ聴き込む究極の一枚、
雪がしんしんと降るような午後、
このアルバムは最高の音色を奏であげる。
僕はそんなふうに思う。

静けさの持つ魅力を
こんなにも浮き彫りにする奏で。
そこにあるのは「引き算の力学」だ。

余計なことはしていない。
余計な音がない。
だから静寂が立ち上がる。

一歩引いて、その場の空気の中に
弦の必要な音色だけを
気負いなく刻み込む。
弾き方の強弱、音色の濃淡が絶妙。
リスナーの心の深い所までに
ぐいぐいと響かせる。

穏やかで静か。
だけど圧倒的な存在感。

この一枚を聴くと
我、人としてこう有りたしと思う。

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