熱燗の時間、ほろ酔い紡いで

何年も愛し続けてきた銘柄、
齋彌酒造の「雪の茅舎」山廃純米を
上燗で頂く。この季節はひと肌燗ではない。

これも何年も使い続けてきた、
燗酒用の保温酒器で徳利ごと温める。

燗酒はありがたい。
職人さんたちが育て上げた日本酒の、芳しいかおりが開く。
まるで雪の中でうずくまり、凍っていた花びらが温めることで氷解し、大きく開き、広がるよう。そして体温に近い分、長く飲んでいられる。

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ほろ酔いの中で、僕は遠くをみつめる。
明日を思い、明後日を考え、来週を心で描く。
でも違う。
今は、そんなことのために
僕に与えられた時間ではない。

目の前の、このかおりと味と温かさ、お酒一点とだけ向き合う。
その先、その向こうによぎる、遠く離れた人、かけがえのない人。
あとは、こうして美味いお酒を堪能できていることへの、深謝だけあれば良い。

山廃のコクも開く。じんわり心身に広がっていく。
来週は生酛を手に入れようか。
それとも、小野酒造「夜明け前」の純米吟醸にするか。
だから、明日からも頑張るか。いっちょ。

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