利息法

 利息法は、償却原価法の一種である。簡便法として定額法もあり、こちらは簿記二級で学習する。以下、社債を例に利息法を考える。

利息法による償却原価法

利息法では、簿価の貸付金を運用する際の利子率である実効利子率が与えられる。例を見てみよう。
(例)
当社の決算日は12月31日とする。X1年1月1日に甲社の社債(債券金額400,000円、返済期日X2年12月31日、額面利息3%、利払日は毎年12月31日)を388,764円で取得した。実効利子率は4.5%である。

仕訳は、

①取得日
貸付金388,764 / 現金388,764
②X1年12月31日(購入後1年後の決算)
現金12,000 / 受取利息12,000【額面利息 400,000×0.03=12,000】
貸付金5,494 / 受取利息5,494【!】
となる。

【!】の計算には実効利子率を用いている。
簿価である貸付金388,764円は実効利子率4.5%で運用されたとすると、利息は、388,764×0.045=17,494円となる(以下、円未満四捨五入)。このうち、額面利息12,000円が現金として入り、残りの17,494-12,000=5,494円が再投資されたとする考え方である。以後、次年度以降の仕訳を考えると、

③X2年12月31日(購入後2年後の決算+返済日)
現金12,000 / 受取利息12,000【額面利息 400,000×0.03=12,000】
貸付金5,742 / 受取利息5,742【!】
(簿価の貸付金は388,764+5,494=394,258円、これが実効利子率4.5%で運用されると、利息は394,258×0.045=17,742円。このうち、額面利息12,000円が現金として入り、残りが再投資される。残りは、17,742-12,000=5,742円。これで簿価は、388,764+5,494+5,742=400,000円となった。)
現金 400,000 / 貸付金400,000

実効利子率及び発行額の計算

 問題においては、実効利子率及び発行額が与えられているが、実際は、実効利子率を設定し、それに合わせて発行額を決定するというプロセスを取る。実行利子率は、貸付金として資金を調達するコストであり、これは自分の会社における内部収益率よりも低くなければ採算が取れないため、内部収益率より低く設定される(ファイナンスについては勉強中)今回、数列を用いて、その式を考えてみる。今回は借入金で考える。

 第n年における借入金の簿価を$${a_n}$$円、額面金額を$${A}$$円、額面利率を$${t}$$(小数)、償還期間を$${N}$$年、実効利子率を$${r}$$(小数)とする。初年度における決算前の借入金の簿価は$${a_0}$$円となる。
 第n年における借入金$${a_n}$$円は実効利子率$${r}$$で運用されて、$${(1+r)a_n}$$円となる。このうち、額面利息$${At}$$円が現金として入り、残額の$${(1+r)a_n-At}$$円が第n+1年の簿価となる。よって、数列の式は、

$$
a_{n+1}=(1+r)a_n-At
$$

となる。この式から一般項を求めると、

$$
a_n=(1+r)^{n}(a_0-\frac{At}{r})+\frac{At}{r} 
$$

 第N年度における簿価はA円でなくてはならないので、$${a_n=A}$$と$${n=N}$$を代入すると、

$$
A=(1+r)^{N}(a_0-\frac{At}{r})+\frac{At}{r} 
$$

となる。この式により、発行価額$${a_0}$$は決定される。

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