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失敗しないアウター選び/S&S OPEN TALK#46

四国にあるセレクトショップ SLOW&STEADY ではオープン直後から、お客様からの相談窓口として、LINE@を利用しています。

その内容は、商品在庫の確認から始まり、商品ご購入後のアフターケアに至るまで多種多様です。しかしそんな中「これは多くの方も同じお悩みをお持ちのはず」と感じるご質問も少なくありません。さらにそういったものほど短文では返しづらいのが正直なところ。
そこでこのnoteにて「マガジン」という形で回答させていただくことで、そんな魅力的なご質問の数々をピックアップさせていただければと思います。

名付けて『OPEN TALK』今週はこんなメッセージから。

✉️

いつも楽しみにしています。私がこの時期悩むのが、アウターです。
ウール、ナイロン、レザーと一通り持ってはいますが、どれも次の年には新作に目移りします。アウターはどういった基準で選べば良いでしょうか?

(徳島県/YN/21)

まずアウター選びの肝は「何を重視するか」です。
機能性なのか、持っている洋服との相性なのか、はたまた長く着用した際の経年なのか。重視する部分によって、その方にとって最適なアウターが決まりますが、これは人それぞれですので、ぜひご自身でまず一つ決定ください。

その上で「各素材の特徴」を掴めば、アウター選びが確実にスムーズになります。
そこで今回はアウターに使われている素材の特徴をもとに、アウター選びがスムーズになるコツをご紹介します。

・・・

ウール素材

アウターといえばやはりウール素材が代表的。
雨にも適度に強く、保温性も申し分なく、徐々に体に馴染む感覚は男女ともにクセになります。
その反面、厚手のコートなどは重さもあって、保管・クリーニングに少し気を使わないといけません。重量や日々のブラッシングなども含め、購入時から「洋服を育てていく感覚」を楽しめるタイプの人には問題ないですが、それ以外の方は別の選択肢を思案されるのがおすすめかもしれませんね。

ポリエステル・ナイロン素材

つぎにアウトドア製品などに使われる機能素材、ポリエステルやナイロンといった化学製品を使用したもの。
こちらはうってかわり軽く、雨に強く、防風性も高く、まさにアウターには最適な素材と呼べます。

反面、ウールのように温度をあげる効果はなく、着ているだけで暖かくなるものではありません。暖かくて機能性を求めるのであれば、中綿やダウンが入っているものを選ぶか、インナーにセーターなどのウール製品を着込む必要があります。

さらに素材の伸び縮みがないので、着用のたびに体に馴染むタイプではありません。これは購入時の状態(サイズ・着心地)が長くキープされる、言わば購入した瞬間が最も状態の良いというタイプの洋服です。

コットン素材

選択肢は多くないでしょうが、アウターに使われるようなコットンだと、ズシっとした重量感が特徴です。
コットンをメインとしたアウターは、保温性などから考えても重量の割にそこまで暖かくないので、軽アウター的なポジションでの着用になります。
普段暑がりで、暖かいアウターはそこまで必要なく、軽く羽織れるアウターが欲しい方であれば最適。気軽に自宅で洗える点も魅力です。

レザー素材

多くの方が想像される「革ジャン」が代表するレザーのアウター。
ムートンやインナーにボアが付いている場合は別として、一重のものやキュプラなど滑りの良い薄手の裏地は、防風性こそありますが、じつはそれ一枚では全く暖かくありません。かっこいい、ただそれだけ!
機能素材のアノラック、マウンテンパーカーなどの天然素材版とでも言えばわかりやすく、革ジャンを冬のアウターにするのであれば、インナーには必ず暖かく保温性のニットなどを合わせないと成立しません。

革ジャンを冬に着るのは、ある種「自己表現のひとつ」という側面が強いので、アウターに機能性を重視される方は、まず選択肢に入れないことが無難です。

丈について(ショート/ロング)

最後に素材とは別方向から、多くの方がお悩みになることに「ショート丈かロング丈」か問題があります。これをただ「好み」と割り切るのは危険で、ご自身のライフスタイルに合わせて選ぶことが大事です。

例えば、普段の移動について。メインとなる交通手段によって選択肢はある程度絞られます。
普段の通勤や外出時にバイク・自転車をご利用される方は、そもそも車輪に巻き込む恐れがあるため、ショートブルゾン一択です。
一方その心配がない、お車や電車などをご利用の方なら、間違いなくロング丈がおすすめです。理由は明確に2つ、インナーを選ばず、他に比べ暖かいからです。

当然、ロング丈の方がショート丈に比べて、外気から守られる面積が大きく、インナーの自由度が高くなります。ゆえに断然暖かい。
厚手のショートブルゾンと、やや薄手のロングコートであれば、体感としてはロングコートの方が暖かく感じるはずです。

※ステンカラー、チェスター、トレンチ、モッズ、ロングダウンなど、ロング丈でも様々ですが、その辺りは普段の洋服との相性を元にお選びください。

バランスの取れた一着を選ぶなら

主に素材について書いてきましたが、仮に僕がアウターをこれから選ぶお客様に、一着おすすめするなら「無地のステンカラーコート」です。

シンプルな見た目のため、オンオフを問わずどんなスタイルの方も着用可能で、基本的にラグランスリーブのため、肩幅の個人差も特に気になりません。つまり、インナーの自由度も高いんです。
着丈は、そこまで長くない(膝下5cm程度)が最も着回しがきくのでおすすめです。普段コートを着ない方であれば、膝下丈ぐらいの少し短いものを選んでみてください。
ベージュカラーが多いので「悩んだらベージュ」とよく言われますが、一着だけで完結させるのならチャコールグレーがおすすめ。ベージュよりも断然合わせやすいんです。
正直、これ以上に使い回しのきくアウターは存在しないと、個人的には思っています。

さいごに

アウター選びにお悩みの方に、僕が店頭でお伝えしていることは「機能と見た目のバランスをどこに設定するか」です。

雪山登頂を目指す方にかっこいいからと革ジャンをすすめるわけはなく、その方々の普段の装い、着ていく場所や移動手段などをお話すれば、自ずとその方に最適のアウターが必ず見つかります。

ぜひ、自分のライフスタイルを思い返して、素材の特徴を念頭に最適な一着をお選びください。

✉️

今週は、以上です。

ここでは、あくまで僕の答えられる範囲内にはなりますが、このマガジンを使って、皆様からお寄せいただく「洋服に関するご質問やお悩み」を、ざっくばらんにご紹介しております。

個別の商品に関するご質問ももちろん歓迎です。ご質問は、LINE@(http://slow-and-steady.com/news/lineat/)の他に、下記メッセージフォームより随時受けつけております。どうぞお気軽にご連絡ください。

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