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毎日百個

editor's note

岡埜栄泉

かつて虎ノ門に勤務していたことがあり
(『虎ノ門ヒルズ』がまだなかった時代)
当時の社長秘書から
「悪いけど、今すぐ岡埜栄泉で大福8個を2折お願い!」
といった指示が何度かあり
桜田通りを午前10時頃走った記憶がございまして
「売り切れ御免」の銘品を知った20代。
その”お駄賃”の『豆大福』の美味しさを知ったあの日から
数十年後に取材させていただくことになりました。

いろいろなお店の歴史を伺ったなかで
最も興味深かったのが
「毎日百個から数百個」ご注文されて
いたという”昭和のお客様”のお話。

「さる有名な先生」と呼ばれる方だったらしいのですが、
もちろん一人で食べる訳でなく、
所用でお配りになる目的で注文されていたようです。
百個を2個ずつ50人?5個ずつ20人?などと想像すると、
そのお客様を通じて、相当な人々に『豆大福』が無償で
プレゼントされていたという事です。
何が目的でプレゼントされていたかはわかりませんが、
これだけ毎日配る「昭和の余裕」。

開発が進み「昭和の夢」で描かれていたような街が現実化した虎ノ門。
https://visit-minato-city.tokyo/ja-jp/places/782
「夢」を見ていた時代の方が「余裕」があったのかもと想いながら、安定の美味しさ『豆大福』を「じっくり・ゆっくり」いただきます。

7月7日発売「東京Slowly²」編集ノート