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日本橋富沢町

スローリー余話
街の”なりたち”#3

江戸のはじめ、当時「江戸の三甚内」のひとりと言われた盗賊・鳶沢陣内が徳川家康から江戸市中の盗賊探索の命を受けて自分の手下に「古着買い」をさせながら盗賊の情報を集めていた拠点があったことが富沢町の名前の由来(鳶沢から富沢に)と言われています。当時は買い集めた古着の売買が行われ「富沢の古着市」として有名だったようです。

昭和34年頃の日本橋富沢町(写真提供:中央区立京橋図書館)

江戸末期には木綿問屋(太物問屋)や呉服問屋で賑わい大正から昭和にかけては”織物繊維問屋の街”として発展しました。現在、日本橋富沢町の町会長をつとめる組紐『龍工房』の四代目・福田隆さんは江戸の伝統文化・組紐のマイスターとして黄綬褒章を受章。近隣の日本橋小学校や久松小学校で「江戸で養蚕の会」の体験授業などを行い街と文化の継承を大事にされています。(以下、2024年3月末号『東京Slowly² vol.3』より)

歴史を紡ぎ、組紐を組む

龍工房

日本の和装文化『組紐』

着物の帯締めや羽織紐など和装には欠かせない『組紐』。現在では日本文化を象徴するアートとして海外のアーティストに注目する伝統工芸。飛鳥時代に日本に伝わり武具甲冑の一部や茶道具の飾り紐など時代とともに進化してきた“美しい実用品”。日本橋富沢町の『龍工房』は1889(明治22)年創業。現在は四代目のご主人・福田隆さんと五代目の若主人・福田隆太さんで営む。従来の帯締めなどに加え最近では海外のラグジュアリーブランドをはじめ日本を代表する国産ウィスキーとのコラボレーションやアニメ映画の公式グッズの制作など「組紐の新たな可能性」を追究している。令和5年春に黄綬褒章を受賞した四代目は、国産繭や生糸の生産減少を憂い『江戸で養蚕の会』の活動をスタート。日本橋小学校や久松小学校で養蚕や組紐の体験授業など伝統文化の継承を実践している『龍工房』の取り組みに今後も注目したい。

問い合わせ先:龍工房 03-3664-2031

https://ryukobo.jp/