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竜閑川と今川橋

スローリー余話
川と橋と美味しいもの#5

1916(大正5)年頃の今川橋(写真提供:中央区立京橋図書館)

1691(元禄4)年頃に地元商人によって開削された運河「竜閑川」。日本橋川から現在の中央区と千代田区の区境に位置し浜町川、箱崎川(いずれも埋立)隅田川に通じた運河で別名「神田堀」とも呼ばれていたと言います。
一度安政年間に埋立られ、さらに明治になって再開削されましたが衛生上の問題などで1950(昭和25)年に埋立られました。現在中央通りにある「今川橋」交差点は竜閑川に架かっていた橋に由来し今もその名を残しています。

日本橋本町、昭和通り沿いの公園にある記念碑

創業1869(明治2)年の老舗蕎麦店『室町砂場』は今川橋交差点からほど近い日本橋室町四丁目にあります。
(以下『東京Slowly² vol.3』最新号より)


開店前に行列ができる人気は変わらず

昼からやりたくなる“誘惑の一杯”

室町砂場 日本橋店

蕎麦粉の芯だけを挽いた更科粉を玉子つなぎ、コシの強さを甘みが愉しめる『ざる』

1869(明治2)年創業。関東大震災後に町名が室町になり以来『室町砂場』として愛され続けている。明るく元気な花番さんたち出迎えられ、はじめてでも安心して注文できる心持ちになる接遇は伝承の形式。お蕎麦だけでなく受け継がれた力である。『天もり』『天ざる』の発祥の店として有名だが決して偉ぶらず“庶民の食文化”を大切にしている矜持が感じられる。


蕎麦前の『焼き鳥』

更科粉を玉子でつないだ『ざる』は細やかな、くせのない甘みを感じる美味しさ。そして洗練された蕎麦粉の旨みを愉しめる『もり』。どちらも一度は食べ比べるべき一杯である。そして蕎麦前には定番の『焼き鳥』や季節の『おひたし』など、どれも「とりあえず一杯呑みたく」なる逸品。老舗ならではの“誘惑の一杯“のあとには心地良い室町の夜風が待っている。

室町砂場 日本橋店
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4-1-13
03-3241-4038
営業時間:月-金11:30-21:00 (L.O.20:30)土11:30-16:00(L.O.15:30)
定休日:日・祝