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京橋川と京橋

スローリー余話
川と橋と美味しいもの#7


明治時代の京橋(写真提供:中央区立京橋図書館)

現在は上に東京高速道路が通る『京橋』は、日本橋から東海道を京都に向けて渡る橋として命名されたといいます。下を流れていた「京橋川」は今は埋立られている外堀と楓川をつないでいた水路で、関東大震災後の1935(昭和10)年頃までここには「大根河岸」という青物市場があり江戸近郊で採れた野菜が取引されていました。

かつて青物河岸であったことを記した碑

また江戸時代には籠などの生活用品に幅広く使われていた竹の専門問屋も並び「竹河岸」と呼ばれ賑わっていたと言われています。材木から桶まで木を扱う職人が多く住んでいたことから「大鋸町」と呼ばれる地域や材木問屋の集まる「正木町」、大工が住んでいた「南大工町」桶職人が住む「桶町」など京橋界隈は江戸時代職人が多く住む町だったようです。

京橋の橋柱

そんな京橋には職人気質のシェフが営む『レストラン サカキ』があります。
(以下、2023年10月発売『東京Slowly² vol.2』より)

みんな大好きハンバーグ

昼は洋食。夜はフレンチ
ビジネス街の実直な食堂

京橋
レストラン サカキ

最近、再開発による複合施設が誕生した京橋は、商業地の日本橋と銀座の間にあって落ち着いたイメージの働く大人の街。この地で1951(昭和26)年から営む『レストラン サカキ』は、昼は洋食、夜はフランス料理を提供している。洋食にはじまりはフランス料理を日本人が主食とする「ご飯」に合うように改良された結果、誕生したと言われている。つまりこの『レストラン サカキ』は、洋食のルーツとされる本格的なフランス料理も愉しめる言わば“親と子”もしくは“本家と分家”の美味しさを提供するレストラン。特に、平日ランチ時間の行列は、もはや京橋の日常風景と言っても過言でない人気店である。

これも大好き海老フライ

四代目のご主人・シェフの榊原大輔さんは京橋生まれ。四谷のフレンチ『北島亭』で修行後に渡仏。四年間、パリやニース、マルセイユなどのレストランで働き、各地の特徴あるフランス料理を学んだ後2003年にシェフとしてお店を継承。土地柄、昔からの食通の常連客も多く学ぶことも多いという。「昼は先代から引き継いだ洋食。夜は、食材にこだわったスタンダードなフランス料理を提供してます」と語るシェフ。早朝、自転車で豊洲に向かい食材を仕入れ、連日行列のランチの仕込みを始めるのが毎日のルーチン。実直な人柄が、その美味しさに表れているビジネス街の隠れた名店。行列を避けたいなら予約ができる土曜日の昼のコース料理がおすすめだ。

四代目のご主人・榊原大輔さんは京橋生まれ京橋育ち

レストラン サカキ
〒104-0031 東京都中央区京橋2-12-12 サカキビル 1F
03-3561-9676
営業時間:11:30-13:30(L.O.) 18:00-20:30(L.O.)
定休日:日曜・祝日