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サタデー・ホームシアター

休日の土曜日。壮絶な猛暑と高湿度下での植木仕事にバテ気味。祭囃子が聴こえる葉山一色界隈だけど、じっと土間で心と身体を鎮める。

Nebula Astro』で観たのは海辺を舞台にした眩い陽光が満ちあふれる盛夏らしい2作品。MacBook Airに映し出したDVDをMini DisplayPort - HDMI 変換ケーブルでAstroにミラーリング。コネクタに繋げるだけで自動的に感知して映像を転送するスムーズさがすこぶる快適。ケーブルはAmazonベーシック製品。マニアックな一本、従来は高価なのに今や1,000円弱で入手できる利便性を単純に悦ぶ。

まずはジャック・ドゥミ監督が出身地である港町ナントで制作した『ローラ』。妖艶なアヌーク・エーメ演じるキャバレーの踊り子、シングルマザーが初恋の人を待つ物語。

美しい映像、せつないストーリー、ミシェル・ルグランの流麗な音楽に心酔しながら渋谷での上映当時のパンフレットをめくり、ドゥミの世界観に没入。パンフは美術作家、永井宏さんが亡くなったあと、自宅アトリエを開放し、蔵書を販売する「Librairie Côte d'une Couleur(一色海岸書店)」にて入手。当時、ローラを観たばかりで残像を抱えて室内に入ったら、このパンフが真っ先に眼に飛びこんできた。偶然に仰天し、永井さんから継ぎ読むようポンと手渡された心地がした。永井さんは雑誌『ガリバー』1992年5月14日号「映画で旅するパリ」特集でナントのロケ地を旅している。パンフは原稿執筆の参考にしたものだろうか。

2本めは2007年夏公開、ボサ・ノヴァの歴史を紐解くドキュメンタリー映画『This is Bossa Nova』。

ナヴィゲーター役はカルロス・リラとホベルト・メネスカル。冒頭や随所にボサ・ノヴァ発祥地といえるリオデジャネイロのビーチタウン、コパカバーナの情景が映る。海岸の背後に常緑の山が迫る環境が葉山一色に似ていて、またまた映像に深く没入。

囁くような快楽的な歌詞と音楽に聴き惚れていたら、たまらず昼酒に溺れたくなった(笑)。映像を一時停止して近所のナチュールワインショップ「ami hayama」に走る。

ナチュールにしては1,100円という手頃なデイリーワイン価格に惹かれて選んだのは南仏の海近ワイナリー「ドメーヌ・アザン」の『プティ・アザン・ルージュ19』。375mL、ハーフボトルサイズがひとり呑みに塩梅よく、適度なタンニンのコクを愉しんだ。

エチケットのメッセージ「さあ!行こう!自然バンザイ!」も何やらシーカヤッキング再開を考えていた自分には導き、意味、縁を感じる。来月予定の海上散歩にはこのワインを携えていこうかな。

ほろ酔いで書棚から引っ張り出してきた雑誌『BRUTUS』1993年10月15日号「ボサノヴァに想いあふれて。」のジョアン・ジルベルト記事と伝説の真理を伝える映像がリンクして、いっそう魅了された。このころのBRUTUSは内容の熱量、深度が現在の2倍、価格は半額。雑誌黄金時代にも想いはせた。こんな特集組める編集者、ライターはたぶんもういない。

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