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八丁堀の川辺で朝食を

佃島の実家に泊まった翌朝は隅田川と亀島川の川辺を歩いて八丁堀に向かう。もう何度も繰り返してきたルーティン。

散歩は実家前の隅田川遊歩道からスタートして中央大橋を渡ってパリ市から贈られたブロンズ像(1937年にオシップ・ザッキンが製作し、同年のパリ万国博覧会に出品した『メッセンジャー』)から前の晩に立ち呑みした永代橋あたりを眺めながら八丁堀に向かう。

10分も歩けば、隅田川からつながる運河、亀島川に出る。そのほとりに立つ「Cawaii Bread & Coffee」のテラス席で海と川の水が行き交うさまを眺めながらパンとコーヒーの朝食を味わうのが佃島滞在の大きな楽しみ、悦び。

葦がかなり茂ってきた。今週末の夏至以降は暑い朝に葦が風に揺らぐ動きと、さらさらとした音を聴く納涼が気持ちいい。夏定番の景色。ゆったりと流れているようだが、東京湾の潮汐由来の潮流と上流からの川水が干渉し合う動きがじつはダイナミックに展開している。その水の移ろいをぼくはずっと愛で眺めていられる。水鳥たちが創る、ときどきの水紋も美しい。

八丁堀界隈はインバウンドの好景気に乗じてツーリスト向きの格安ホテルがたくさん。ステイする外国人とテラスで同席する率も高い。世界一清潔で快適なビジネスホテルが集まり、東京駅や銀座まで徒歩圏内。浅草へのアクセスも良い。ぼくが異国から旅して来たら、間違いなく八丁堀をベースに東京をめぐるだろう。

阿佐ヶ谷の名店「ジェラテリア・シンチェリータ」のジェラートが入荷してきたというので、クロワッサン、京都「オオヤコーヒー焙煎所」の『アメリカーノ』(アイス)とともに味わう。選んだフレーバーはヘーゼルナッツジェラートの『ノッチョーラ』。ピエモンテ州ランゲ地方とシチリア産の二品種を焙煎し、ブレンドしているのだそう。その香ばしさ、非日常の美味しに観光気分が盛り上がる。都内で朝食をいただくならここに限ると訪ねるたびに確信が強まっていく。店から最寄りの京橋・宝町駅に潜り、京急特急に乗って葉山へ帰る。その夢みたいな高速移動体験もまたすこぶる快楽的だ。

#八丁堀
#パン

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