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風薫る季節に

今年に入って
ようやく穏やかな日々。
思えば矢のように
年明けから月日が流れていた。

コロナに罹って
嗅覚のない数日を経て
味わう喜びを取り戻し、
人生のB面、
51歳の誕生日を迎えた。

自我は自身を飛び出して
生きること自体を
味わうことを欲している。

何かになるべくも
何かを成し遂げるもなく、
私という存在を
あるがままに輝かせたい。

相変わらず
外の世界は賑やかだ。
お世話になった人や
名の知れた立派な人が
次々と空へ旅立っていく。 
見事なまでに
空へ溶けていくようだ。

昨日と今日が
不連続に続いている。
いや、
続いていると思うのは
執着なのか。

新しい今日が
明日で待ってる。
身軽に会いに行けばいい。

風が色んなものを
吹き流していく。
5月の風は
鯉のぼりを泳がせる。
風速6メートルを超えると
鯉のぼりは元気に泳ぐらしい。

クスノキの花が咲いた。
独特の香りがして
梅雨の気配を感じさせる。

田んぼには水が張られ
弱々しい稲が座標を作る。
空が映って
空を間近に感じる。
夕陽が空と田んぼを染めて
幻想的な空間に包まれる。

あぁ、
生きてるなぁ。
また
季節が巡るなぁ。

大型連休もいよいよ最終日。
働く傍らで
別れを惜しんで抱擁する家族の姿。
かつてのありふれた景色が
ようやく戻ったとほくそ笑む。

それぞれの日常が
ここから始まるのだ。

毎日が
新しい1日なのだ。

巡り巡って
また連休に抱擁するための。

人の美しい
営みがはじまるのだ。

そう思えば
連休明けが
勇ましく思えないだろうか。



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