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音楽・演劇いろいろの感想や考察など
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#diary

解体された世界の果てに――20180722『半神』

7月22日、野田秀樹作・中屋敷法仁演出による『半神』を観に行ってきた。 土曜日の昼下がり、近所のTSUTAYAにて偶然手に取った雑誌。ティモシー・シャラメが表紙を飾り、吉沢亮と松坂桃李の名前が並んでいる。おそらく同じ理由で、いろんな手に取られ続けたその雑誌は表紙の端がすこしめくれあがっていた。 シャラメの映画祭コーディネートをべた褒めするページに一緒になってべた褒めし、吉沢亮の見開きにうっとりし、松坂桃李と唐沢寿明の対談を斜め読みし、たどりついたのは映画とライブ、演劇の情報ペ

感情は音楽の形(宇多田ヒカル『初恋』について)

隣のデスクの人と宇多田ヒカルの話をしていたら一日が終わった。 最近、朝晩は必ず宇多田ヒカルの新譜『初恋』を聴いている。仕事中もずっと頭の中を流れているので実質寝ているとき以外は宇多田ヒカルを聴いている。わたしは別に彼女の熱心なファンというわけではなく、幼い頃に突如彗星のごとく現れた「なんだかよくわからないがすごい(らしい)人」としてテレビや車のステレオから聴こえる音楽をぼんやり聴いて、だいたいの変遷をなんとなく追いかけていた程度の人間に過ぎない。しかし、昔はたしかに「なんだか

他者が「わたし」になるということ―演劇という言語

今年は。メール画面を見ながら思う。今年は、上演許可願の連絡が多い。 わたしは高校と大学で演劇をやっていた。高校時代は脚本も書いていた。なぜ書くようになったかはよくわからない、やってみたかったのだろう。それに創作脚本で大会に出る高校が多かったから、それが当時の主流だったのだと思う。 わたしは高校3年間書き続けた。夏休みを執筆と修正に時間を使いすぎて1学期と2学期で成績を50位ほど転落させたこともある。(こんなに極端に成績を落としたのは学年中探してもあなただけですと担任に叱られ