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春は曙、夏は夜...冬はおじいちゃん[物語のある英語 Vol. 26]

春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、で始まる枕草子の有名な冒頭。

では冬は?

日本式なら「冬はつとめて」になるが、英語式なら冬はおじいちゃんとなる。

その理由は英語にはOld Man Winterという表現があるからだ。これは一体何なのか?なぜおじいちゃんなのか?今日はその謎に迫っていく。

1.冬=爺という考え方の起源はどこから?
2.そして凍死をプレゼントするサンタクロースが由来

*本記事は「シルバー記事」です。記事等級についてはコチラから。
https://note.mu/slovar/n/nd175096a55aa


1.冬=爺という考え方の起源はどこから?

北風と太陽という有名なお話の中でもそうであるように、冬にピューピュー吹く北風には「暴」という漢字がピッタリだ。ギリシャ神話でもそれは同じで、北風の神様は暴れっぽいとされている。お爺さんなのは、頑固一点張りすぎてその場の空気を凍らせるような頭の硬さがあるからなのか。冷たい空気とお爺さん、というのは相性が良いように思われる


その考え方が、次第にロシア語に浸透するようになった。Дед мороз (ジエド マロース)という青いサンタクロースとして描かれることになる。


2.凍死をプレゼントするサンタクロースが由来

サンタクロースと言えば普通赤だが、ロシアには青いサンタクロースが居る。色を青にしたのは、当時アメリカと仲が悪く、アメリカでのサンタの色の真逆に行こうとしたからだ。一言で言えば、対抗意識だ。

このジエド・マロースはとんでもないサンタクロースで、なんと凍死をプレゼントする。ウィキペディアの物語をそのまま抜粋したほうが分かりやすかったので余分な編集無しで抜き出した。

継母に虐げられる娘がいた。継母は連れ子を溺愛するあまり娘を家から冬の野に追い出してしまった。悲嘆する娘の前にジェド・マロースが現れ冷たい風を吹き付ける。ジェド・マロースは娘に「暖かいか」と問い、娘は「暖かい」と答える。問答を何度か続けた後ジェド・マロースは毛布や食料を与えた上で娘を生かす。生還した娘を見て継母は連れ子にも同じ幸運を受けさせるべく連れ子を外に放つ。先と同様ジェド・マロースが現れるが、性格の悪い連れ子は「寒い」と一点張り。連れ子は凍死する。

日本でも悪い子は悪魔に罰せられるという考え方があり、その一例が「なまはげ」だろう。そのロシア版がジェド。マロースなのだ。冬限定で。そんなことから、冬=お爺さんというイメージがロシアに定着した。

間もなく、その考えが英語に取り入れられ、Old Man Winterとなった。ちなみに、ジエド・マロースのジエドはおじいちゃんという意味だ。


日本ではちなみにどうなのかと言うと、「冬将軍」という言葉があるように将軍に例えられている。将軍はと言うと、熟練の兵士だ。よっておじいちゃんということになる。

ギリシャ神話から始まって、ロシア語、英語、そして日本語も、どうやら冬=英語という意識があるようだ。



いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。