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[物語のある英語]~第11回~chew the fat 脂肪を噛むとは

-こんにちは!スロバールです。

言葉は人によって作られた。だからその過程には物語があって味がある。
単語帳では語られない物語を味わって味わい尽くそうというのが本シリーズの目当てです。

第11回目は「Chew the fat」についてです。直訳するとchew (噛む)+ the fat (脂肪)で、ラードみたいなものを噛むという意味になってしまいます。

◆目次◆

・意味と例文
・Chew the fatの由来
・Chew the fatの関連表現

◆Chew the fatの意味と例文◆

この表現の意味は「おしゃべりをする」「世間話やうわさ話などをする」という意味です。

英和辞典と英英辞典では意味がずれていることがあるので、英英辞典でも確認してみましょう。

若干英和辞典とずれていて、話す内容がカジュアルというよりも、会話の雰囲気がカジュアルということが見て取れますね。

【使い方】
▶We stayed up all night and chewed the fat.
 (一晩中起きていて、語り明かした)

▶I chewed the fat with my dad about politics.
 (お父さんと政治について愚痴でも垂れながら話し合った)
*トピックこそは重いかもしれないけれど、お父さんとお酒でも飲みながらダラダラ話しているイメージなので会話の雰囲気はカジュアルですね。

▶Sit down and let's chew the fat.
 (さぁ座って話でもしましょ)

◆Chew the fatの由来◆

実は諸説が色々あり、明確なものはないのですがいくつか紹介していこうと思います。共通するポイントは、おしゃべりをする時のアゴの動きが、噛む時のアゴの動きに似ているという点です。

【説1】
航海士が塩で固めたラードを退屈しのぎに口の中で転がしていたことから。
【説2】
アメリカの先住民が、動物の革を加工しやすくするために暇な時間に噛んで柔らかくしていた...現代の基準から見たらちょっと聞くのに抵抗がある話ですね、「え、歯で噛むんかい!」

【説3】
食事が終ってお皿の上に残った脂身の塊を食べながらダラダラと会話を続けていた習慣による...これも現代の基準から見たら...ちょっと食べるようなものでもないですね。
しかし昔は今ほど食料が有り余るほど豊富ではなかったので、きっと脂の塊でも食べていたのでしょう。

時代の事情を感じます。

◆関連表現◆

まず日本語ではなんと言うのか?と考えると、「井戸端会議をする」という言葉がchew the fatのイメージにしっくりきます。近所の女性たちが水汲みや洗濯をしに町の井戸に行くと、何人か集まるので世間話が始まる...というようなイメージですね。

英語の面白い表現で、「Gas Bag」というものがあります。これは、話す内容が溜まっていて、話したくて話したくてたまらないという鬱憤に近い気持を爆発させるようにして話す人=話しだしたら止まらないような人 という意味になるのです。

ガスボンベに例えるこの発想が面白いと思います。

いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。