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[物語のある英語]~第8回~Through thick and thin厚い時も薄い時も?友情の熱さが試される表現 (語彙力up法付き)

-こんにちは!スロバールです。

言葉は人によって作られた。だからその過程には物語があって味がある。
単語帳では語られない物語を味わって味わい尽くそうというのが本シリーズの目標です。

第8回目は「Through thick and thin」についてです。直訳するとthrough (~を通って)+thick (厚い)+thin(薄い)なので、厚い所と薄い所を通ってという意味になってしまいます。

◆目次◆

・この表現の意味
・関連表現Thick とThin
・探索の話~Through thick and thinの由来~
・この表現の使い方
・関連表現2
・日本語では?

厚いところと薄いところとは一体どこでしょうか。空気が薄い所?それとも厚着とか薄着とかが関係してくるのでしょうか?謎を解いていきましょう。

◆この表現の意味◆

この表現の意味は「どんな時でも」「良い時でも悪い時でも」という意味です。

確かに「厚い」と「薄い」はお互い両極端な関係にあるので、「2つの両極端の間」と解釈すれば、その間に全てが収まり、「全ての状況において」という意味になるのでしょう。

しかしThickとThin、どちらが良いイメージで、どちらが悪いイメージなのかの謎がまだ残っています。

でも当ブログを読んでいる方の中には英語を習いたての人もいると思うので、先にThickとThinの使い方から先に見てこの2つの単語の理解を深めましょう。もう完全に知っているよという人は読み飛ばして次のセクションに進んでください。

◆関連表現Thick とThin◆

Thickは厚い、Thinは薄い、ですが色々なものが厚かったり薄かったりします。
・A thick / thin door (ドアが厚かったり薄かったり)
・A thick /thin book (本が厚かったり薄かったり)

●Thickの面白い使い方● 

・Thick trees (厚い茂み)
・The garden is thick is weeds. (庭が雑草で厚い→雑草で生い茂っている)
・a thick fog (濃度が厚い→濃い→濃霧)
・The soup became thick(スープが厚い食感になる→トロミがつく)
・a thick Japanese accent. (日本語なまりが強い)

厚い→濃い→濃さが出すぎている→耳で分かる厚さ という風に発展していますね。
見方を変えれば、

目で分かる厚さ→舌で分かる厚さ→耳で分かる厚さ

という風に抽象的になっていくのが見て取れると思います。複数意味がある英単語なんて大体そんなものですので、この順を追っていけば単語の勉強は楽しくなりますよ!

Thinの面白い使い方
・Thin hair (薄い髪)
・Thin paint (はげて薄くなったペンキ)
・Thin smile (薄い笑み→薄笑い)
・Thin wine (味が薄い→味の弱いワイン)
・Thin joke (面白みが薄い→浅はかなジョーク)

◆探索の話~Through thick and thinの由来~◆

さて、ThickとThinに対する語感が鋭くなったところで、何がThickで何がThinかという話に移っていきましょう。実は前のセクションで答えが挙がっていたのですがどれだか分かりますか?

。。。。。

。。。


答えは、茂みです。ThickとThinが指しているのは茂みの厚さだったのです。

イギリスといえば産業革命で有名ですが、産業革命が起こるずっとずっと前はイギリスでは狩猟生活が行われていました。狩猟と言えば獲物を追い求めて森の中を歩かねばなりません。どんなに生い茂っていても、生い茂っていなくても、獲物を取って家に帰らねば家族が餓えてしまいます。

の執拗なるハンター精神をギュッとまとめたのがThrough thick and thinなのです。

◆この表現の使い方◆

強烈な精神力の強さを感じるこの表現、「何が何でも」という時に使えます。

・ I should keep trying, through thick and thin.
 (何が何でも挑戦し続けるんだ。決心を感じる表現ですよね。)

・I will stand by you through thick and thin.
 (何が何でもあなたの側にいて味方します)

ちなみに、英語圏の結婚式で「病める時も、健やかなる時も、 富める時も、貧しき時も」という時は、

(前略)..for better or for worse, for richer or for poorer...(後略)

と言います。

こちらは文字通りの表現ですね。

◆関連表現2◆

これは知っている人は多い表現だと思います。

Friends in need is friend indeed.
(困った時の時の友こそ真の友)

まず、この表現何が良いかと言うと、in needとindeedが見事に韻を踏んている点です。

In needは「~を必要として」の意味で、indeedは「本当に」という意味です。

Friends in need (友達を必要としている時の友達)はfriends indeed (本当の友達)という具合です。

こういう友達は、through thick and thinの気持ちで側にいてくれるので大切にしたいものですね。

◆日本語では?◆

日本語にも同類の表現が有るのですが、一昔前のポケモンの歌は「たとえ火の中水の中….」で始まっていましたよね。

これをもう少し格調付けて言った表現に、「水火を辞せず」というものがあります。

就活のときに「水火を辞せず、御社に貢献していきたいと存じています」

と言えたらカッコいいかもしれませんが、急に難しい言葉が出るので面接官が逆に面食らってしまうかもしれません。使い時は慎重に。

ここで終わってしまってはつまらないのでもう1つ。

確かにピンチの時もグイグイと前に進んでいけることは大事かもしれませんが、それが全ての状況においていいとは限りません。そのことを言い表したのが、

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

でしょう。

これは、溺れた時に助かろうとして必死にもがくと、焦りからかえって溺れてしまうので潔く流れに身を任せたほうが、浅瀬に流されて助かることも有るという状況を描いた表現です。

困ったときこそ成り行きに任せる。

一見すれば投げやり感もありますが、流れに身を任せるにも命を懸ける覚悟が必要で、転じて困った時に命を懸けるくらいの気持ちがあれば物事は解決する、という意味で使われます。


いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。