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〜白血病になった25歳〜 8.過酷な帰り道

乗り換え駅は大混雑だった。
土曜日の夜でみんな休みをエンジョイしている。

そんな中で私は体のだるさと闘っていた。意識もかなり朦朧としていたのを記憶している。

在来線はこの時間帯混んでいる。
新幹線とは違い、座れる席はなかった。

スーツケースと大きな紙袋、重たいリュックを背負っていた私はどうしても座れたかった。いつもの"座りたい"という気持ちとは訳が違った。

立っていられないくらいのヘロヘロの状態だった。満員電車の奥に押し込まれて車両の連結部分に追いやられた。壁に寄っかかってかろうじて立ち続けた。

(来週仕事行けるのかなこれ)
(コロナだったら大変だ)
(病院にかかるにしてもどこの病院に行こうか)

いろんな事を考えていたが実際はまともに考えられる訳もなくぼーっとして自宅の最寄り駅に着くのを待っていた。

そしてなんとか最寄り駅に着いた。
ビュンビュンと北風が吹いていた。

駅前には怪しいお店のキャッチが沢山いた。その中を通らざるを得なかったので通ったがいつもよりその勧誘に腹が立った。

○○はいかがですか〜 居酒屋のお誘いだった。
(そもそもこの大荷物の人に声をかけるような店ではないだろう、ましてやこんな体調悪そうな歩き方してる人に声をかけるな!)
と言いたかったが心の中に留めて必死に家まで歩いた。

フラフラしながら、意識もぼーっとする中、
持っていた大荷物を家に押し込んだところで帰宅した。

(無事着いて良かった)
少しホッとした。すぐにでも寝たかった。

布団は綺麗な場所であって寝る前に私は必ず風呂に入ってから布団に入るタイプですが、この日だけはそのプライドがなかった。

(でも帰ってきてそのままの髪の毛だけはなんか汚いな)

そしてその結果、間をとって洗面台で髪の毛だけ洗うという限界な行為をしたのであった。

10分後、布団に入った。
ここで初めて体温計を使って熱を測った。

38.4℃。

(やっぱりな)
(明日病院に行こう)

コロナも疑ったが、自宅には検査キットも何もなかったので連絡していた母親が翌日持ってきてくれる事になった。ひとまず手元にあったカロナールを飲んだ。

そして疲れもあってか、気絶するように即眠りについたのであった。

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