お酒、衒示的消費ではなく原始的消費を③

前回の記事では私の考える味覚というものについて触れました
味覚とはこれまで経験してきた事でしか知覚できない、という考えです

では衒示的消費は悪い事なのかという疑問ですが
私はYESでNOという意見を持っています

まずNO、悪いことでは無いという意見の内容です
衒示的消費、つまり見せびらかしの為の消費ですが、単純に経済が活性化します
そして国力のアップにも繋がるでしょう。良いことですね。そして衒示的消費をする富裕層、昔は有閑階級とも呼ばれていました。その階級の人々は衒示的消費の中で、品位を高め、礼節を身につけるよう努力をします
品位が高く礼節を身につけている尊敬されるような人は多ければ多いほど良いですよね
また、現時点でそういった階級や資産が無くとも、そうなれるように努力するのも悪いことでは無いはずです。

このように衒示的消費をする人が増えれば、人格者が増えていくはずなのです

そう。「はず」なのです

では今度は反対の意見、YESの内容です
衒示的消費は悪いこともあります
というのも、先ほど述べたように本来であれば人格者が増えていくはずなのですが、
昔は今とは違い、誰もが有閑階級に属する事ができた訳ではなく、家系や民族的な事柄が関連してきます。当然、有閑階級に属していない人々の中に人格者がいなかったというのはあり得ないでしょう。人間誰でも優しくなれるのです。

現代の日本ではインターネットやSNSの発達によって、誰もが情報発信する事ができて、誰もが注目される時代になりました
そして注目されることに依存する人がとてつもなく多い時代です
承認欲求、自尊心、虚栄心などなど、ある種の病気で、呪いとも言えるでしょう
それらの欲求が人格者を育てる事に繋がればこの上ないのですが、
注目されることに依存している人々は、その為なら何でもするのです
本当に何でもします。それが例え法を犯すようなことであっても

昨今では回転寿司チェーンでの問題行動が大きな話題を呼んでいましたね
少し前の話で言えばコンビニのアイスクリームの冷凍庫に入り込んだりする「バイトテロ」と呼ばれる問題行動や、これまたコンビニのおでんを指で突いている様子をSNSにアップという事もありました。

これらの行動は自らの人格を育て上げたり、品位を高めたりとは真逆の行動であり、
さらに自らの得になること、ここでいう得というのは金銭的な得ですが、なんの得もない訳です。得られるものはただ一つ、「注目」なのです
その場で居合わせた友人との盛り上がり、多くの人からの直接的な視線、インターネット、SNSで話題の中心人物。それらの「注目」が自分自身を世界的なスター、つまり有閑階級だと錯覚させるのでしょう。

注目をされたいという欲求を満たすには先ほど挙げたような、迷惑行為や犯罪行為以外にもあります。それこそが衒示的消費です。消費すれば経済が活性化するのだから、迷惑行為や犯罪行為でなければ良いのでは?と思うかもしれませんが、法に触れたりすることでなくとも、界隈を不健全なものにしたり、多くの人の思考能力を低下させることに繋がると私は考えています。その内容については次の記事で詳しく書いていきます。

衒示的消費というのは本来は単なる注目ではなく「尊敬」を集めるものでした
遡っていくとまだ人間が狩猟をして生活をしていた時代になります
フィジカル的なパワーを備えている人は、より大きく、多くの獲物を仕留める事ができました。それは一族の生存に関わる重大な能力であり、尊敬を集めました。
やがて単に獲物を狩り、栄養にするだけでなく、その武勇を語るようになり獲物の角や牙、剥製をトロフィーとして残すようになりました

言うなれば原始的な衒示的消費でしょうか

もちろん現代でもそのような衒示的消費は行われていると思われます

恥を忍んで稚拙な例えをしますが、皇室の方々が公の場に出られる時のほとんどは、伝統的で、いわゆる一流と呼ばれるブランドや店で仕立て上げられたものをお召しになるのでしょう。
これは決して悪いことではなく、真の意味での衒示的消費になるでしょう
国の象徴である天皇の一族の品位や力を誇示するために、むしろ必要な事ですらあります

衒示的消費を行うためには「実力」が必要だったという事です

ところが、現代においては実力がなく尊敬を集める事ができなくても、
注目は集められる時代になったのです
しかし人間の本能的な部分なのでしょうか、実際には尊敬されていないにも関わらず、注目されることによって尊敬されていると錯覚する人が非常に多いようです

この辺りで一度、衒示的消費は悪いことなのかという疑問に対する私の意見についてまとめましょう

衒示的消費そのものは悪ではなく、社会的立ち位置によっては必要なものである

では注目さえ集められれば良いという人々の衒示的消費とは一体何なのか
それはまた次回の記事で書いていきたいと思います

長文に付き合っていただきありがとうございました
次回もよろしくお願いいたします

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