G20観光大臣会合「グリーントランスフォーメーション」に注目
イタリアを議長国に日本時間5月4日に開かれたG20観光大臣会合(テレビ会合)が開かれました。
テーマ:包摂的、強靱かつ持続可能な旅行と観光の回復
新型コロナウイルスによるパンデミックで打撃を受けている旅行・観光業界のより強靭で持続可能かつ包摂的な回復に向け、「観光の未来に関するG20ローマガイドライン」などが採択されました。
日本、イタリア、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、EU、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、ロシア、南アフリカ、トルコ、イギリス、アメリカ、サウジアラビアのほか、シンガポール、スペイン、オランダ、コンゴ、ブルネイ、ILO(国際労働機関)、ISDB(イスラム開発銀行)、OECD(経済協力開発機構)、UNWTO(世界観光機関)、WTO(世界貿易機関)、WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)の各代表が参加。日本からは小林茂樹 国土交通大臣政務官が出席。
観光の未来に関するG20ローマガイドライン
観光の未来に関するG20ローマガイドラインは、7つの政策分野で構成し、これに基づいて各国の観光政策を再考し、再構築する必要性を指摘している。
安全な移動:
安全な国際移動のための信頼を構築し、安全な国際的な移動のイニシアチブを支援、補完、調整できるようにする
危機管理:
将来の危機が観光に与える影響を最小限に抑える
強靱性:
不確実な時代における頑強で安定した観光セクターの確保
包摂性:
コミュニティの関与と観光がもたらす恩恵の拡大
グリーントランスフォーメーション:
世界および地域の環境を維持するための観光のマネジメント
デジタル化:
観光に携わる関係者全員がデジタル化による恩恵を十分に受けられるようにする
投資とインフラ:
観光の持続可能な未来へのリソースの集中
グリーントランスフォーメーション(GX)とは?
グリーントランスフォーメーション(GX)とは、温室効果ガスを発生させないグリーンエネルギーに転換することで、産業構造や社会経済を変革し、成長につなげることです。
参照: https://ideasforgood.jp/glossary/gx/
「グリーントランスフォーメーション」には、下記の内容が盛り込まれています。
・観光政策において持続可能性原則と環境目標を採用し、主流化する
・観光事業者に対する環境に配慮したマネジメントや、グリーンなビジネスモデル採用の促進、支援、インセンティブ付けを行う
・持続可能な観光マネジメント推進のための観光地レベルの取り組みの支援
パンデミックの影響を受けた観光
今回の会合で、上記のガイドラインを承認する形で採択された「G20観光大臣宣言」によると、観光は引き続きパンデミックの影響を最も受けたセクターの一つであり、国際観光客到着数は2020年に世界で74%減少、とりわけ脆弱な、中小零細事業者に前例のない影響を及ぼしているとのこと。
さらにWTTC(世界旅行ツーリズム協議会)の統計によると、世界で18.5%の減少に相当する、6200万人近くの旅行観光関連雇用が失われ、見通しは依然として不透明という。
宿泊施設も動き本格化 星野リゾート「エコツーリズムホテル」目指す
また宿泊施設の側でも「グリーントランスフォーメーション」や「スロートラベル」を意識した動きは本格化している。
ホテルチェーン大手の星野リゾートは、西表石垣国立公園にある「星野リゾート 西表島ホテル」について、島の自然環境を保護し、持続可能な観光の仕組みをつくるため、「日本初の『エコツーリズムホテル』を目指す」と先月発表した。具体的にはプラスチックごみの削減に向け使い捨てのアメニティの提供をやめる「エコロジカルなホテル運営」と、島の自然や動物を観察・研究する地元在住のナチュラリストをガイドに、サンゴ礁の海やマングローブに囲まれた川などを巡る「島の魅力と価値を感じるネイチャーツアー」の実施、さらに「イリオモテヤマネコの保護活動」への参画の3つを柱としている。
一方、旅行予約サイト大手「ブッキング・ドットコム」の調査によると、世界中で旅行が停滞したことで、人々は旅行が与えるより幅広い影響に敏感になり、世界の旅行者の53%が「新型コロナウイルス感染症の影響でよりサステナブルな旅行を望むようになった」と回答するなど、「責任ある旅行への需要が高まっており、希望の兆しが見えている」という。「観光の未来に関するG20ローマガイドライン」の採択がこうした「希望の兆し」を各国がより強固なものとするための指針として機能することが期待される。
2021 G20 Tourism Ministers Meeting
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