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学習初期のインプット①DVDと書籍

前回の記事で「学習初期に特殊なインプットをした」と書きました。今回は、手話を学びはじめた頃にDVDと書籍で行ったインプットについて。

なんだ、この言語は…!

手話講座を受講し始めた頃、別件で知り合った方(Oさん)が長く手話に関わっておられたことを知り、Oさんから大量の書籍や漫画、DVDをお借りしました。

最初に衝撃を受けたのは、米内山明宏さんのDVD『米内山明宏の手話語り」に収録されていた「この夏、一番長い日」。

1945年8月6日の広島。米内山さんが手を動かしているだけなのに、目の前に映像が見えます。映画を見ているようでした。

「なんだ、この言語は…!」

語学が好きで、いくつかの言語をかじったことがあるけれど、美しい!手話という言語は圧倒的に美しい!

衝撃を受けた私は、そこから一気に手話にハマり、米内山さんが主宰する手話文化村のDVDを何枚も買って見ました。

手話動画との出会い

米内山さんに端を発して、さまざまなろう者の手話を見ました。
今からご紹介するろう者は、学習初期にDVDでよく見ていた方々ですが、YouTubeにも動画(ほとんど字幕なし)がたくさんあります。
ご紹介のために字幕付きの動画を探してきました。

米内山明宏さん

砂田アトムさん

モンキー高野さん

菊川レンさん

初めて見た手話通訳者

入門講座にも通訳をしてくれる方はおられたのですが、ご本人が「私は手話通訳ではない」とおっしゃっていたので、私が初めて出会った手話通訳者は、DVDの中の田中清さんになります。
田中清さんはご両親がろう者のCODA(Children Of Deaf Adult)です。
下の動画の右はろう俳優の五十嵐由美子さん、左が田中清さんです。


米内山さんの手話は、美しすぎて今でも鑑賞用ですが、砂田アトムさんの「おもしろ昔話」のDVDは、スロー再生して何度もシャドーイング(まね)しました。手話をまったく知らない状態で彼らの手話動画を大量に見た経験は、今でも影響が残っていると思います。


書籍からのインプット

Oさんからは、漫画や書籍も借り、「手話」で検索してヒットした書籍を買い漁ったりもしました。

漫画

『わが指のオーケストラ』
『どんぐりの家』
『遙かなる甲子園』

残念ながら現在はどれも絶版です。
私の住んでいる町では図書館で読めます。
Amazon等で中古販売もされています。

書籍

『驚きの手話パポ翻訳』米内山明宏

『ろう者のトリセツ聴者のトリセツ』関西手話カレッジ

『日本手話とろう文化』木村晴美

当時は、「日本手話か日本語対応手話か」という議論が熱くなされていた時期でした。「手話は日本語に手の形をつけただけのものではない!」とろう者が訴える書籍が多数ありました。
最近では、手話が独自の文法を持つ固有の言語であることは、手話に関わる人の中では自明のこととなっています。手話言語学の発展もあって、講座では単に「表情」としか教えられない「顔や体を使った文法表現」も、その構造や使い方がどんどん明らかになってきています。
しかしそれまでは、「ろう者の手話はかっこ悪い」「日本語ができるろう者がスマート」と評される時代がありました。そんな中で、ろう者の手話を守るために闘った人たちがいたからこそ、今では手軽にろう者から手話を学べるようになったのですね。

何も知らない

入門講座に通いながら、DVDや書籍で学ぶにつれ、
私は愕然としました。
聴覚障害のことを何も知らなかったのです。

聞こえない人の多くは手話で話すと思っていたし、ろう学校でかなり最近まで手話が禁止されていたなんて知らなかったし、補聴器をして自分で話している人はそこそこ聞こえていると思っていました。

そんな無知な自分に対する恥ずかしさ。
ずっと知らずに過ごしていたことへの申し訳なさ。
一方で『わが指のオーケストラ』の高橋潔先生の熱意に感動し、手話の美しさに魅了され…さまざまな感情がごちゃまぜになって、手話を学び始めて1ヶ月ほどですっかり手話にのめり込んでしまい、今に至ります。

②に続きます。