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雨露の中で蠢く

梅雨の季節……しとしとと雨が降り続ける。
そんな時節、纏わりつく湿気のおかげで私の髪はうねり、それが日々の仕事のストレスと共に積み重なり襲いかかってくるのである。
そんな日の通勤の最中、私は民家の外壁にふと目をやる。
そこには近頃はあまり見かけなくなった気がする存在があった。
それは壁を這い蠢く……目にしたのは久方ぶりの事であったと思う。

そう、なめくじである。

この時期のものでもあるから、紫陽花と蝸牛であればまた風流と言えるのかもしれないが、なめくじと言うのだから若干の物悲しさを感じずにはいられない。
しかし殻が無いだけで気持ち悪さのようなものが違うのは何故なのだろうか。

私は常々、昆虫なんかは宇宙生物だと思っており、今回のなめくじもその一端だと思っている。
例えば、この生物は一見人畜無害そうであるが、人が近づくと突然ガバッと口が開き捕食行動に入るのではないか?など、どうでも良い事を考えてしまう。少し違うかもしれないが、クリオネの捕食行動のような感じ、と言えば通じるだろうか。
仮に捕食されたらどうなるのか……?
捕食された者はこの世界から存在そのものが消滅してしまうのである。
存在していた事実も記憶も情報も何もかもが無くなってしまうのだから、なめくじがそう言った行動を起こしてることを誰も知らないのだ。
などと考える。

現代人の……否、私の想像力はこの程度のものである。
本当はUMAなども遭遇はしているのに、まことしやかに語られているのはそう言った事象があるからなのかもしれない。
などと思い、退屈な毎日を過ごしているのである。

世のクリエイター達の創造力とは本当に驚嘆に値するものと言えよう。

おしまい

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