見出し画像

air (cheki)

11月に開催しました個展「air」振り返りシリーズ第3弾。今回は「チェキ」について。


フェルト以外

画像1

展示レイアウトを考えた時、3面ある壁のうち、最後の壁は「フェルト以外の何かを展示したい」と思いました。とはいえ、フェルト以外に長く続けてきたものといえば写真くらい。(趣味的に)
そこで思いついたのが「チェキ」でした。


画像2

これまでポラロイドもトイカメラも使ったことはありませんでしたが、何とかなるだろうと思いつつネット検索。数ある機種の中で選んだのが「instax mini 70N」でした。上位の機種でもっと写りが良いものや、使いやすい半デジ・半アナログタイプのものなどありましたが、「ボケ感」や「光の濃淡」や「偶然性」などの「味」があった方がインスタントカメラらしいのでは・・・と思いこちらに決めました。(カタチが好みだったこともある)


アイデア 1

問題はどう使うか。まず最初に思いついたのが、今回の展示会場は馴染みの吉祥寺なので、羊作品を私の分身に見立て、「吉祥寺のいろいろな場所で『ぬい撮り』する」というアイデアでした。

早速はりきって井の頭公園で撮影してみたところ・・・

画像11

こんな写真が撮れました。
晴れた昼下がりなのに、まるで呪いの池のよう。フラッシュの有無強弱はボタンで選択できますが、(あたりまえですが)デジカメと異なり、どれぐらいのコンディションの時どのくらいの光量が必要なのか、撮ってみないことにはわからない。結果、同じ場所、同じレイアウトで何度も撮影することになり、フィルム1セット(10枚)のうちマシなものが1、2枚あればいいくらいという状況に。しかも街中なので、ひとつのシーンを撮るのにそうそうじっくり時間をかけるわけにもいかず・・・。

フィルム2セット目を撮り終えたところで、これはとても無理だと判断。当初のアイデアは頓挫したのでした。



アイデア 2

氣を取り直して、今度はstandingシリーズ全11作品を自宅撮影することに。街中で撮るよりは落ち着いたコンディションでできるはずなので、上手くいくかと思いきや、晴れた日の窓際で、家の全ての照明を点け、強フラッシュで臨んだにもかかわらず、作品も背景もどんよりと暗い。全然ダメ。

途方に暮れ、追い詰められ、ついにはユーチューバーが使うようなリングライトまで購入する事態に。


画像13

おかげで何とかstandingシリーズ撮影完了。
・・・とはいえ、壁に展示する作品としては少しもの足りなかったので、ポストカード的なグッズとして窓際で販売することに。よって、最後の壁を埋める作品は未だ用意できず。


画像14


画像15


アイデア 3

そして最後に思いついたのが、「自宅ベランダで空を背景に羊作品を撮影する」というアイデアでした。室内より明るさが十分得られ、天氣と時間を合わせれば光のコンディションも一定に保ちやすいなど、アイデアというより安全策に近いものでしたが、刻々と変化する雲にフィルムならではの「一回性」を表現することができ、また、雲と羊の親和性が高いことから、壁展示作品足り得るものを感じたのでした。


画像12

それでも白飛びしたり仄暗かったりいろいろありましたが、何とか撮り終え、最後の壁を埋めることができました。



Sky and Sheep

画像5


画像6



運試しphoto

結局のところ、フィルム8セット(80枚)ほど使って作品として選んだのは、standingシリーズ11枚、Sky and Sheep11枚の計22枚。
選に漏れた58枚のうち、あまりにひどいものは捨ててしまいましたが、「展示するまでではないにしても、そこそこかわいい写真」もどっさり。もちろん捨てるのは惜しい。そこで思いついたのが、1枚100円で引ける「カードくじ」のようなもの。「何が出るかわからない運試しphotoコーナー」なのでした。それはまた、フェルト作品が売約済みになってしまった後、せっかく会場にいらしたのにお持ち帰りいただけるものがない・・・という場合の、「せめてものお楽しみ企画」的な意味合いもありました。

画像7


おかげさまでご好評頂き、展示終盤には少なくなってきてしまったので、IROさん入り口脇の植物コーナーで、急きょ追加撮影。

画像8


画像9

吉祥寺の街ではさんざん苦労したにもかかわらず、なぜかこの日はフィルム1セット全て失敗なく撮影でき、最後に思わぬ「当たりカード」を投入できたのでした。


画像10

この企画はぜひ今後も続けたい、と思いました。

次回は「文章」について書きます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?