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万が一の死と数ヶ月後の死

少し麻痺してきて、いろんなことに鈍くなってきてしまったので、今回コロナの件で感じたことを記しておくことにした

まず、暗雲が立ち込めてきたなと感じたのは2月上旬。

10周年を控えるmillion dollar orchestraのPOP UPショップをラフォーレで予定してた。

いつもよりもさらにコンセプチュアルに。地上世界では住めなくなった未来の"ファッションの在り方"を映像も交えて表現するため、去年の11月から企画をスタート。GWに大々的に発表する予定だった。

工場との兼ね合いや流通の問題、そして、何より今回のコレクションの大切さを考慮に入れて、一旦延期にすることにした。

デザイン自体は、もう15年も温めてきた、特別という言葉では表しきれないものだから。

そして遅れてツアー。想像を越えてる混乱が起き、2月末というギリギリの判断だけど、中止。そしてファイナル含めた2周年のツアーが全て中止になった。

自主で一人の会社であるとはいえ、色んなチームで組んでいるツアーなので、みんなで負債を分担し合うんだろうと高を括っていた為、その全ての負債を一人で背負わなければいけないと分かった時、冷や汗がでた。

もちろん主催という立場をしっかりと理解し切れてなかった自分の甘さが大前提。だけど、どこかで勘違いしていた。

保険のためにもこの会社をチームに入れておいた方がいいというアドバイスもあって委託していたのに、伝染病だと保険が下りない為、無効というイレギュラーケース。ライブハウスも基本全額かかることや、チケットの払い戻し手数料も全額アーティスト負担。(払い戻し手数料に関してはのちにプレイガイドから請求発生しないことになったのでセーフ)

大混乱の渦中、色んなアーティストの子から相談がきたりした。もちろん俺も先輩に相談した。みんながみんな平等なダメージを受けていた。

そのアーティストの規模に応じた、ダメージ。

はっきり言ってめちゃめちゃ怖かった。どうなるんだろうこの先。

2日は大混乱した。

だけど、去年の夏、台風で中止になったイベントの時も相当なダメージを受けていたから、少し打たれ強くなったのかもしれない。冷静にいまできることを実行しようとすぐ切り替えて制作系を進めることにした。

混乱がとけて冷静になる途中、ある意見がきて、すごく考えさせられることがあった。

「責任者なんだから当たり前だろ」

うん、確かに。正解だと思う。文字にするとすごく、正解っぽい。だけど、考えるほどこの場合の責任ってなんなんだろう?って感じた

超自然的事件。国の要請。保険も下りないような非常事態。

そんな状況で責任取れる人っているの?って感じた

もちろんスタッフ含めた、イベンターさんや制作会社さんなどのだれの責任でもないから、みんな負債を負担しないのは当たり前だなと、冷静になれてから、きちんと理解納得した。

誰も責任とりようがないから、全部主催に降りてきてしまった。

しかも国からは強制じゃなく、要請なのであくまでアーティストの意向でキャンセルなので自ら負担してねという理屈。

人によっては国が負担しろ!ってのもあるみたいなんだけど、自分自身のダメージの大きさと、他のアーティストの数や規模を考えると、国が保証できる額とは思えない。エンタメだけじゃなくて、そもそも飲食など数え切れない負債があるだろうから。

だから。こんな辛い今だから、誰かに責任があるって押し付けるだけはやめにしない?って感じた。

保証保証!って全てに言い出すと、だれかが死ぬ。今回はしょうがないねって、我慢して。みんなで痛み分けにして思い出にしようよ。

もちろん最終的な責任は主催でいいと思う。

だけど、責任だから当たり前だろ!みたいな当たり方やめない?精神的にも追い詰める必要ない。誰も悪くないこんな非常事態に責任も何もない。

もしかしたら、天災などどうしようもない場合はチケット代は返ってこない。その代わりに何か特典があるなど、知恵を振り絞って行かないと、全てが主催だけを圧迫して、その恐怖から誰もイベントをきれなくなってしまうかもしれない。

お仕事がなくなった!やばい、って声がたくさんある中で、

主催は、お仕事がなくなった!かつ、お仕事がなくなった人への保証、場所代、グッズ代、色んなものを支払わなくちゃ!

という立場。どっちの方が辛いとかそういう不毛な話じゃなくて、やはり途方もない純粋なマイナスの行方には頭を抱えるばかり。

維持費があるから潰れてしまうので、箱代の保証は100%でという意志は分かるけど、アーティストの事務所サイドも全く同じなので。(だからって箱側ももちろん悪くない)

「そういうリスクを踏まえた上で、利益を見込んだ経営をできてないだけだろう」

それも別に正解だとは思う。だけど、この正解を受け入れてしまったら、もうぼくたちはあのチケット代で音楽を聴きにいけないし、グッズも買えない。

その合理的な言葉は、合理的な金額で返ってきてしまうんだよ。

だから、このギリギリのバランスの上で、だれかを悪者にして欲しくない。

音楽はハイリスクローリターンであると改めて感じた。

売り上げ1億円がなくなったニュースを聞いて、そんな売れてたんかい!みたいなリプが目立ったけど、1億円かけて利益は数百万円なんてことがざらにあるのが音楽業界。

だから、中止してしまうと売り上げは無くなって数千万円の経費が負債になる。

会場によっては、ソールドアウトしても利益が全くなかったり、常識的な演出を入れると赤字になったりするんだから。そもそもなるべくみんなが触れられるようギリギリまで利益を削ってある業界。

実際akubi Inc.も規模は違えど今のタイミングだったから耐えられただけで、復活のEASTやmeltbeatの全国ツアーの時だったら倒産していたと思う。

よく他の業種の社長の方とかに、音楽はファッションって利幅全然ないし儲からないのになんでやってるの?って聞かれることも増えた。

だけど、ぼくらは音楽を辞めない。

出口のない迷路から救ってくれたし、誰かを好きになる時にも、きっと音楽があった。

みんな音楽が好きだ。

CDが売れていた時と違って効率が悪いから、お金の為だけにやってる人はあんまり居ない時代だと思う。

だからこそ、責任だビジネスだ経営だって、かっこいい風に冷たい言葉を誰かにぶつけるのはやめて欲しい。

もっともっと、前向きになることに気持ちを使おうよ。

そんな言葉ばかり吐いたら、責任ばっかりが大きくなって誰もやらなくなっちゃう。

愛のない世界は、音のない世界に変わる。

利益だけが生きるモノサシじゃないし、その人が産んだものでみんなが幸せになれるのなら、そこにクールな正解はなくなっていいと思う。

いずれこのウイルスとも、どういう形かわからないけど、共存することになるんだと思う。

踊らされずにしっかりと情報を選べばそれくらいわかる。

今はその共存するための方法を探る為の、時間稼ぎ。

そこの防波堤の最前線に、エンターテインメントがある。

それだけの話だし、それでいいんだと思う。

衣食住とは戦う土俵が違う。

3/11の時感じた絶望感。

過剰自粛から、知り合いも、隣にいる知らない人も。数えきれないくらいの人が命を絶った。もうあんな悲劇、繰り返してはいけない。

責任だとかカッコつけた言葉じゃなくて。

這いつくばって、ダサくても乗り越えられたら、きっとまた新しい感動が産まれると信じるしかない。

本音を言うとすごく怖い。気持ちだけで乗り越えられることではないから。

だけど、信じるしかない。

万が一の死なのか、数ヶ月後に確実にくる死なのか。

今はそれがせめぎ合ってるように見えるけど。

お互いを理解して思いやりを持って、いい着地点を選べることを信じて。

今日も音楽や言葉、デザインを作ります。

5/11、会えますように。









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