【58】Kindle for PCの緩やかな前進 #睡沢週報
電子書籍プラットフォームはもっぱらKindleを利用している。購入した書籍を別のプラットフォームに持ち込めない現環境では移行という選択肢自体が発生しない。
中でも私が使っているのはwindowsアプリのKindle for PCだ。これが大変に使いにくい。いつも文句を言っていた。
しかし、先日アップデートが入り、UI/UX周りがかなり改善された。今日はその話をしたい。
アップデートだ!
windows版Kindle for PCに大規模なアップデートが入った。
Kindleのコレクション機能を使ってクラウドで書籍を管理できるようになった。これまでのローカルで分類を作ることしかできなかったKindle for PCを考えれば革新的なものだ。
このコレクション機能はKindleに前から備わっていたもので、Amazonのデジタルコンテンツを管理するメニューから操作することができる。また、Kindle for PCのメニュータブ、「ツール」から「コンテンツと端末の管理」を選択することでもアクセス可能だ。
階層フォルダにはできなかったり、アプリ内での変更ができなかったりと不便なところはまだまだたくさんある。それでも今回のアップデートは大幅な改善と言えるだろう。
コレクションを整理する
私のアカウントに登録されているKindle書籍はこの週報を書いている時点で512冊。そんなに買っているとは正直思わなかった。
この512冊を分類するためのコレクションを作成した。基本的にはNDC(日本十進分類法)の大分類に沿って、別個で枠を設けたほうがいいものは独立させた。
以下がその項目と分類された書籍数になる。宗教史を歴史と宗教どちらに置くかなど、分類に悩んで複数のコレクションに登録したものもある。そのため冊数のブレがあることはご承知おき願いたい。
文学・小説 75冊
コミック 286冊
技術・工学 0冊
芸術・美術 13冊
言語 8冊
産業 0冊
自然科学 4冊
実用・生活科学 28冊
社会科学 14冊
趣味 7冊
宗教 19冊
総記・事典 3冊
哲学 13冊
歴史 62冊
コミックが286冊あるのはこの際よしとしよう。私が電子書籍を利用するようになったのはコミックを日常的に読むようになってからのことだし、よほど気に入らない限り紙でコミックを買うことはない。
基本紙で買っているはずの歴史に62冊もあるのが怖すぎる。ちょっと買おう、一応買っておこうの積み重ねでもう62冊も電子の歴史書を買っているのか、私は……。
電子書籍の財産権
厳密に言えば、私は1冊もKindleの書籍を所有していない。
これがどういうことかというと、Amazonは「サービスが続く限りの永続的な閲覧権」を販売しているのであって、電子書籍のデータそのものは商品ではないのだ。
つまり、いつかAmazonの経営が傾いてKindleのサービスを終了するなんてことになったら(今のところそれは杞憂だが)一夜にして電子書籍は泡沫と消え去ることになる。
問題はそれだけではない。仮にKindleの電子データを保管しておいたとしても、KindleのファイルはKindleアプリからしか開けないようになっている。
これこそが電子書籍市場の競争を苛烈なものにしている原因だ。Kindleで購入したものはKindleでしか開けない。コピーガードという大義名分がある以上、Amazonが健在なうちはここが開放されることはないだろう。
馬鹿げた話だ。紙の本と同じ金額を払っているのに電子データを所有できないとは!
このあたりの財産権についてはまだ法整備が追いついていない。なんせ大手電子書籍プラットフォームで倒産したところがまだないものだから、危機感が薄いのだろう。
いつか手元の512冊が失われる日が来る可能性を考えると、心底嫌な気分になる。精神的なダメージで言えば、投資家にとってのバブル崩壊のようなものだろうか。