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被写体は「胸を張れない」か

 先日、被写体や撮影会モデルは胸を張って言えない仕事だと言われる機会があった。私は何を言われているのかがわからず、聞き返した。それは勿論、私は真剣に撮影依頼を受けさせていただいているからだ。そして、カメラマンさんに敬意を払っているからだ。
 雑誌モデルやショーモデルは胸を張れる仕事らしい。何故なのか問うと、被写体は「グレー」な仕事らしいのだ。
 私はショッピングセンターのイメージガールをしていた経験がある。きっとこれは「ホワイト」なのだろう。ヘアショーにも使っていただいたことがあるが、おそらくこれも。
 正直に話してしまうと、イメージガールは、「バイト」だった。私の中での話である。モデルのレッスンを無料で受けさせて貰ったのでその点は非常に感謝しているが、楽しい、と心から感じるものではなかった。趣味に合わない服、自分としては好みでないメイク、お店を盛り上げる為の仕事なので当然受け入れていたが、店舗の大きな看板の前を通りすぎるのが、恥ずかしかった。誇れる自分の姿ではないからだ。見せたい私の姿ではなかったからだ。だから、「バイト」と割り切っていた。
 私は今被写体として、撮影をするのにお金をいただいている。けれど、バイトだと思ったことは一度もない。望んで、楽しみながら、真剣に取り組んでいるつもりだ。「無料の被写体さんもいるよね?」と、ごくたまに言われるのだが、お金をいただくのにあたって、私が絶対的に意識していることがある。「ある程度の撮れ高の保証」だ。カメラマンさんが、金払ったけど良い写真撮れなかったな、と思ったなら、それは不良品を売ってしまったことになると考えている。SNSに載せたくなるような写真が一枚も撮れなかったなら、完全に私の失態である。返金を迫られても仕方がない。不良品を売ってしまったのだから。対して、無料の被写体さんはそんなこと考えなくて良いと思うのだ。もし撮れ高を与えられなくても、それで謝る必要はない。有償と無償の違いはここにあると思っている。
 雑誌モデル等と被写体が違うこと、それは、商用か芸術かだと思う。偉そうになんだかんだぬかしやがって、と思ってくれて構わない。勿論、趣味としてカジュアルに撮影するカメラマンさんもいらっしゃる。でも、「ファインダー越しの私の世界」って、めちゃくちゃに芸術味を帯びていると思う。僭越ながら展示に使っていただくこともあるし、ポートレートは、芸術だ。カメラマンさんの作品作りのお手伝いをさせていただく仕事、それが、被写体なのではないかと思う。
 何をもって「グレー」と言われたかはわからない。しかし、雑誌モデルと被写体はそもそも立っている場所が違う。目的が違う。ニッチなジャンルかもしれない。でも、私は尊敬しているモデルさんが沢山いるし、私自身も「胸を張れない」などと思ったことは一度もない。胸張ってこーぜ。誇ってこーぜ。楽しんでこーぜ。笑っていこーぜ。
 カメラマンさんから、「休日は女の子の写真撮ってるなんて部下には言えないなあ」と言われたことがある。んでも、んでもさ。私たちはカメラマンさんがいて嬉しいんです。撮ってくださって嬉しいんです。誰にも馬鹿にされる筋合いはない。

胸張ってやってこーーー!!!


読んでくれてありがとぴょん!

photo 鯨野様

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