摂氏二十三度の停滞

賽の目が出る
ひとつ、進む
踏み出した足は土を踏まない
空を切って、そこにおちる

そこは明るく、暖かい
摂氏二十三度の停滞
誰かがガラスの蓋を被せてくる
蓋の裏には「一回休み」の文字

歩いてきた道程を忘れるほどに
ただ休むだけの一回
歩き方を損なうほどに
ここは明るく、暖かい

それでも、その蓋を押し上げようとするのは
温かいだけじゃ、お腹が空くから。


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