塩の柱


雲の高度が
おそろしく低い
きょうは月曜日

湾のそばに
点在する小さな集落と
時間の止まったような船着き場
海岸線が襞をなして
ひたすらに続いて
神様と猫のすむ島
風がやさしいけれど
決して ふりむいてはいけない

さまざまな形の器に
人の 植物の 獣たちの
呼吸が根付いて
どれも いつか傷んでなくなる
いままで
つたない泳ぎ方で
生きてきた
上手に泳ぐ必要なんて
いままでも
これからもなかったのだ、
と 布団のなかで
濁流のように流れた
三年間を取り戻す

発つ日の朝に
愛すべき隣人に抱擁をする
あの人たちはやさしいけれど
決して ふりむいてはいけない

わたしの丸まった背中を
三年前のわたしが強く蹴飛ばす
蹴りかたがつたない

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