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冬凪

四度目の冬に
はじめてまぶたをひらいた
はじまる瞬間を
見逃さないように
濃い影を
ますます濃くして息する

触れていく突端が
どれもあたたかくて
すべて きらいだ
白い白い布に映った
枯れた木々たちの
葉がこすれて
さんさんと鳴って
息が白くなって
はっきりと敵意を知った

隣で眠るあなたの
安心しきった顔を
崩したいと 願う
首に手をかける
果てまで重なって
すべて 望むから
すべて 叶わない

肩から熱がつたわって
みんな居なくなればいい
不幸を選んだら
幸福にしかなれずに
あなたと手をつなぐ

いまにも崩壊していく指先

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