堆積する
あとかたなく弛緩しては
ゆるやかに膨張
九月のしまいに
やわらかく結ばれて
ほどけて
ほどなく帰宅する
呼吸をひとつの歩行として
単一に染められたはしばしが
染まることのないまま
なりをひそませている
ひとしれず地層をかさねて
鮮やかに裏切られていく午後
ひとを許せないことを
ほこらしく思う
時間がかさぶたとなり
剥がれ落ちるまで
幸せに生きようと思う。
言わない言葉が
喉に降り積もって
わたしの輪郭を
いっそう濃くする
九月のしまいに
曇天に包まれ
靴紐を堅く結び直したら
わたしは
大通りを闊歩していく
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