黎明の０１フロンティア

情報化のブレイクスルーが起こった近未来。
ちょっとした知識があれば、誰でも不正プログラムが拡散できる時代。
子供たちは遊び半分のハッカー行為に熱狂した。
ゲームのような気楽さで、情報端末を操作して他人の端末を「攻略」する。
彼らの遊びは対戦ゲームに止まらず、街行く人にも無差別に牙を剥いた。
その行為は、ノックアウトをもじって「クラックアウト」と呼ばれた。
中には、情報の窃盗や端末の破壊を請け負う少年ギャングまで現れる始末。
守らねば盗られ、壊される！
高度情報セキュリティ社会の到来である！

一ノ宮第三高校、1年A組。
３時限目の教科は国語。
後藤田黎明は、学習机に備えつけの有機EL画面を注視していた。
「……ん？」
画面の隅に、ウィルス脅威を示す警告表示がPOP。
授業中の不意討ちクラックアウトだ！
「止せばいいのに……」
違法な高性能セキュリティが侵入者に致命的反撃！
「アーッ！　俺のスマホがーッ！」
悲鳴が教室に響き渡る！

【続く】