新潟戦~昇格チームに完敗

2023年2月26日 サンフレッチェ広島 vs アルビレックス新潟 エディオンスタジアム広島


 空は晴れ渡り、開幕戦がこの天候ならと悔やまれるものの気温は高くない。やはりこのスタジアムの気候は読めないのだった。

 相手の新潟にはかつてサンフレッチェを優勝に導いた千葉がいた。その千葉に対し果敢にプレスに行く。前から嵌めようと走る。その前線からの守備はボールの出しどころを制限し攻め手を与えない。それによりマイボールにはするものの佐々木からの縦パスは読まれてしまい引っかかる。そこからというものパスのパターンが読めてるかのようにパスを引っ掛けるようになった。それによりまた高い運動量でプレスに行く必要が出てしまうのだった。

 ところが取れない。取れない新潟のボールポゼッション。相手の寄せに対しては個の技術で交わしてしまう。3人で囲んだかと思うとターンによってあっさりと抜け出される。すると中盤にポッカリ空いたスペースに出される。そこから縦へとドリブルで駆け抜ける。全速力で戻ったDF。塩谷がシュートブロック。が、こぼれ球を後ろから湧き出た選手がシュート。目にも止まらないスピードでゴールに打ち込まれてしまった。

 失点。早い早い失点。あまりにも簡単に決められてしまったことで呆然としてしまう。だがまだこれから。気を取り直してまずは追いつこう。

 相手を押し込める。CKを獲得する。満田がセットしたCKが飛ぶとニアでナスの頭でフリック。ファーに流れたボールを柏が飛び込む。が、ゴールを目の前にして放ったシュートはバーに当たってしまった。なんで、なんであの距離でのシュートを外してしまうのか。ここで振り出しに戻していれば新潟の勢いは殺せた。が、ここで決められなかったことが尚更新潟に活力を与えたようだった。

 サンフレッチェのプレスはまるで効かない。もはやボールに食らいつくことすらできなくなってしまった。新潟は攻撃に出ても速くて鋭い。それに対してサンフレッチェはどこかもどかしい。柏、中野の両サイドがまるで機能してない。それでもナスや満田が右サイドで抜け出し折り返しを送る。そんな決定的なチャンスを作り出してもなぜかゴール前に選手が上がってきてない。更に悪いことにセットプレーを跳ね返されるとそのセカンドボールを拾われ簡単にゴール前に運ばれてしまうのだった。チャンスがそのままピンチに転嫁する。もはや攻めレバ攻めるだけ新潟にチャンスを与えているかのようだった。

 そしてそんな流れから新潟のカウンターが生まれる。手数の少なパスでゴール前まで運ばれるとシュートコースを切ったもののあっさりと中央に流され湧き出た選手に決められた。折り返してもゴール前に誰もいないサンフレッチェとは対照的な光景だった。

 2点差。流石に厳しくなってきた。そこで後半に入ると柏、中野、松本泰志を下げ、左サイドに東、ピエロス、森島を入れる。ナスとピエロスの2トップ、満田が右サイドに入り森島が中盤に入る。すると森島のところで時間がつくれるせいかボールが回るようになってきた。前半、あれだけ攻め手を欠いていたサンフレッチェはまるで違うチームのように躍動した。右に振り左に振りボールの取り所を与えない。そしてクロスが入ると跳ね返されてしまうもののセカンドボールは回収する。更には相手ボールすらも強引に身体を入れ奪い切ってしまう。佐々木、塩谷も最終ラインから攻撃参加をしてくる。東が左サイドからのミドルシュートを放つ。野津田も左脚を振り抜き遠目からのシュートを狙う。が、GK小島に処理されてしまう。固い固い新潟のディフェンス。それは防戦一方というよりも2点差の余裕でもあるようにも見えた。

 川村が果敢にシュートを打っていくものの入らない。満田のシュートはブロックされる。ピエロス、ナスの両FWはシュートすら打てない。そして何度か訪れた満田のFKの場面ではGKへのパスと見紛うようなキックばかり蹴ってしまう。得点力不足。またしてもこの文字を思い浮かべてしまうのだった。

 もはや満田のFKには何の期待もできない。ゴール正面の位置で貰ったFKにしても跳ね返されて終わりだろうと思った。そして実際にゴール前の密集に放ったキックは新潟のクリアに遭ってしまう。リフレクションのボール。その落下地点に塩谷がいた。力の抜けたボレー。ヒットしたボールは弧を描いた弾道でゴール隅に入り込んで行ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。塩谷サンフレッチェ復帰後の初めての得点である。あれだけ密集したDFがいながら、そしてあれだけ距離がありながら一瞬の隙で決めてしまった。塩谷、やっぱりあのゴールへの感性はまだ健在だったのだ。

 あと1点。追いつきたい。ゲームをつくる森島。ペナルティエリアへ入り込むナスとピエロス。ショートパスにより打開を図ろうとするもこじ開けられない。ゴール前へ放り込んだボールはピエロスが合わせるも枠に入らない。CKからのボールも頭で合わせることはできてもGK真正面。ごちゃごちゃとしたゴール前で川村がシュートを放つも千葉のブロック。ゴール前を固めた相手を崩せないのは何年経っても解消されることはないのだった。

 刻々と刻まれる時間。長いアディショナルタイムの表示。急ぐ、急ぐサンフレッチェの攻撃。崩せないもののFKを得るとGK大迫まで上がってきた。正面からのボールはGKキャッチ。ここで試合終了。1-2の敗戦で終わり開幕から未だ1勝もできないのだった。

 一方的に押し込まれた前半。それが全て出会ったのは確かだが後半あれだけワンサイドゲームになりながらも塩谷のスーパーゴールの1点のみ。しかもFWのシュートがないというのが深刻さを与えている。点が取れない、点が取れない、点が取れない。そして複数失点。まだ2節とはいえ大丈夫なのかと不安になってきた。まだ2節が終わっただけ。浮き足立つ必要はないのかもしれない。中野も満田も野津田もこれから良くなってくるのかもしれない。きっとそうなんだろう。そんな願いを込めて次節まで待つことにしたのだった。

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