柏戦~僅差での勝利

2023年3月19日 サンフレッチェ広島 vs 柏レイソル エディオンスタジアム広島


 晴れやかな空が広がりスタンドは結構な観客で埋められピッチの緑がよく映えていた。そんな中でサンフレッチェのフォーメーションはワントップ2シャドー。東をボランチに入れ左サイドに志知を初スタメンで入れてきた。それに対して柏は鳴り物入りで加入したフロートをトップに持ってきた。未知数なだけに警戒すべき選手。それだけにそこにはボールを入れさせたくない。そんな意図もあり序盤から激しいプレッシングを仕掛けるが、トップのナスに入ったボールは柏も激しく潰しにくるのだった。

 そんな中で左サイドで志知が受ける。DFと対峙するも突破。左足のクロスを上げるとゴール前へ伸びる。競り合いの中でボールは逸れていった。いいボールだっただけに合わせて欲しかった。

 だがその直後、今度は左サイド低い位置で受け縦パス。ナスが抜けると森島に落とす。中央へ放り込む。東がターゲットとなり浮き球を処理するとシュート。シュート鋭かったもののGK守田がスーパーセーブ。惜しかった。枠に行ってる。可能性感じることができた。

 そして今度は中盤から受けたボールをリターンした志知。ワンツーにより縦へ抜けクロス。ゴール前へ飛び込む森島。合わせられないもののリフレクションがゴール真正面へ。そこに入った東のシュート。これがバーを超えて行った。これこそが枠に入ってれば決まってたシュートだった。それでも再三チャンスに絡む志知と東にこのフォーメーションでの手応えを感じるのだった。

 前へ横へ後ろへと繋ぐパスは柏のプレスを掻い潜り前線へと運んでいく。よれにより後ろから湧き上がるように掛け上げる選手。そんな中でナスがペナルティエリアに潜り込みシュート。これもGK守田のセーブ。そして川村もニアサイドを狙うシュートもコースを切られ入らない。そして満田の強引なまでのミドルシュートは強烈な威力があったもののそれも止められてしまう。GK守田が覚醒している。これだけ攻めているのにまるで入る気がしてこなくなってしまった。

 そんな守備への手堅さを見せた柏はシンプルに前線へパスを当てていく。トップのフロートにはボールが収まる。そしてサイドの選手が上がり揺さぶりをかける。クロスを入れられると弾き返す。上手く対処はしているもののやはりゴール前にターゲットとなる選手がいるのは脅威であるのだった。

 試合は優位に進めている。だけど点が入らない。後半に入ってもその状況に変化は訪れることがなくスキッベ監督はいよいよ決断を下す。シャドーの森島を下げ右サイドの中野を入れる。それにより満田をシャドーに入れることでよりゴールに近い位置に置き点を取りに行く。だがそれでも動かない。柏の守備の壁は突き崩せない。そこでジョーカーであるヴィエイラとエゼキエウをナスと志知に代えて入れるのだった。

 トップに立ったヴィエイラはターゲットとしてよりはっきりとした目標となる。そしてエゼキエウはポジションを変幻自在に移動してボールに絡むことで明らかにペースが変わった。チームが異なるものとなることで柏に混乱をもたらす。それでも最後の壁は突き崩せない。すると最終ラインから上がった塩谷が受けスルスルスルッと持ち上がる。シュートコースに入る柏の選手を避け、更に避けるとシュート。ブロックに入った柏の選手に当たることでコースが変わりGK守田が飛びつくもゴールに入れることができたのだった。

 決まった、決まった、決まった。昨シーズンノーゴールだった塩谷が早くも2点目を決めてしまった。お互い点の入らない展開、これは貴重な貴重なゴールとなったのだった。

 残り時間耐えるか。柏は攻撃の選手を入れて完全に点を取りにきた。チーム全体の重心が下がってくる。あまり防戦一方になるのは芳しくない。だけどこの時前線にヴィエイラがいた。クリアボールを収めてくれる。それを拾ったエゼキエウが前線へ押し上げる。ドリブルで切り込みダメ押しゴールを期待するもそれは食い止められてしまうもCK。もはやここからヴィエイラに預けて時間稼ぎ。もう一度CKを得るも今度はすぐにボールを奪われてしまった。これで何分時計を進めることができたのだろう。急ぐ柏はどんどんと前線へと繋いでくる。最後の踏ん張りどころ。もはやクリアするのが精一杯の状態になってしまった。

 もはや前線へ蹴り出してもボールに触ることすらできない。それによりGK守田からロングボールが飛ぶ。競り合いを制し弾き飛ばす。身体を張り、読みを効かせ弾き、弾き、弾き返す。そしてアディショナルタイム5分が経過すると時間きっちりで笛が鳴った。終わった。勝った。1-0という僅差で勝つことができたのだった。

 いい攻撃はするものの最後が決まらない。それを象徴するような試合だった。それでも勝てたというのが大きい。昨シーズンあれだけシュートが枠に入らなかった塩谷がここまで決めれるようになったのは満田が右サイドに入ることで守備の負担が減ったせいなのだろうか。真ん中で使うことでその得点力をもっと使いたい満田だが右サイドに入ることでそこから崩されることはない。そして左サイドで存在感を見せた志知を使わないのは勿体無い気がしたもののゴールに関われる東も使いたい。ゲームをつくっていく上で森島は欠かせないし川村もシュートシーンを何度もつくり出してる。色んな可能性が見えてきた。全員が全員使えないのは悩ましさがあるものの楽しみでもあるのだった。

 次の試合が楽しみ。そう思えることこそが何よりも幸せな状態であるのだった。

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